雪印メグミルク株式会社の前身の一つである雪印乳業株式会社の始まりは、1925年(大正14年)、酪農家による酪農家のための生産組織「有限責任 北海道製酪販売組合」の設立にあります。創業者達は、「酪農は大地の力を豊かにし、その豊かな大地から生み出された牛乳乳製品は、最高の栄養食品として、健やかな精神と強靭な身体を育む。」という精神「健土健民」を掲げました。創業当時の社会課題は、日本国内における安定的で豊かな食生活の実現であり、創業者たちは酪農乳業という事業を通して、その解決のために立ち上がりました。
そして今、私たちを取り巻く経営環境には、地球温暖化をはじめとする深刻な環境問題や、想定を超える急激な社会構造の変化など、多くの社会課題が顕在化しています。雪印メグミルクグループは2018年に5つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、取り組んでいくことを表明しました。「環境負荷の低減」の取組みでは、チーズ製造の副産物であるホエイ(乳清)の加工過程で発生する水やCO2 排出量削減のため、ホエイのメタンガス化施設を雪印メグミルク大樹工場に設置し、2023年度上期稼働を目指しています。なお、生成したメタンガスは工場のエネルギーとして全量を有効活用する予定です。「持続可能な酪農への貢献」では、2021年新たに、グループ会社である雪印種苗株式会社の製品による作付面積の拡大によって自給飼料型酪農を推進するというKPI(重要管理指標)を掲げました。
また、当社は2021年6月に「雪印メグミルクグループ 環境方針」を改正するとともに、「雪印メグミルクグループ 人権方針」を新たに制定いたしました。「雪印メグミルクグループ 環境方針」では、環境情報の積極的な開示が重要であると位置付け、これに基づき、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。「雪印メグミルクグループ 人権方針」においては、自らの事業活動およびサプライチェーン上の人権課題を整理し、「優先的に取り組む人権リスク」を特定しました。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、人々のライフスタイル、価値観等が大きく変化しています。その変化の一つとして、健康意識のさらなる高まりが挙げられます。「健土健民」にもある「健やかな精神と強靭な身体を育む」は、私たちが社会に果たすべき大きな役目であり、今も昔も変わることなく一貫した、私たちの存在意義・志と捉えています。これからも、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様のお声に耳を傾けながら、酪農乳業が生み出す価値の提供によって、「健康寿命の延伸」や「クオリティーオブライフ(QOL/生活の質)の向上」など、重要課題(マテリアリティ)として掲げた社会課題の解決に努め、持続的に成長する雪印メグミルクグループを目指してまいります。
2022年4月
代表取締役社長
佐藤 雅俊