サステナビリティアクション

  • 持続可能な酪農への貢献

アニマルウェルフェアへの取り組み

アニマルウェルフェアに配慮した乳牛の飼養管理は、持続的な酪農乳業の発展(生産性向上による酪農生産基盤の強化)に資する有効な手法であり、私たちは、農林水産省による「乳用牛の飼養管理に関する技術的な指針」に基づいた飼養管理のさらなる普及・浸透を、業界団体とともに取り組み推進していくことを、2026年4月1日付け「雪印メグミルクグループアニマルウェルフェア方針」で制定いたしました。

持続可能な酪農乳業の実現に向けて酪農生産者との懇談会を開催

雪印メグミルクグループは2026年7月14日、約1,400名の酪農家により組織された研究実践団体である日本酪農青年研究連盟(※酪青研)役員との酪農懇談会を開催し、「持続可能な酪農乳業 アニマルウェルフェアの取り組みについて」をテーマに意見交換を行いました。
近年、アニマルウェルフェア(以下AW)は、家畜の健康や快適性を確保するだけでなく、生産性向上や安全な畜産物の安定供給にもつながる重要な考え方として注目されています。また、消費者や取引先においても関心が高まっており、酪農乳業双方が理解を深めながら取り組みを進めていくことが重要だと考えております。こうした中、業界団体であるJミルクは2026年1月に「酪農乳業AWポリシー」を制定し、当社グループにおいても同年4月に「雪印メグミルクグループ AW方針」を制定しました。
今回の懇談会では、当社グループからAWに関する考え方や方針について情報提供するとともに、酪青研役員による酪農現場での実践事例をご報告いただき、持続可能な酪農乳業の実現に向けた意見交換を行いました。

日本酪農青年研究連盟

  • 〔出席者〕
  • 酪農家(日本酪農青年研究連盟 役員) 14名
  • 雪印メグミルクグループ役員および関係者 19名

酪農家の視点からAWの重要性を共有 (篠﨑繁実委員長)

冒頭、日本酪農青年研究連盟委員長の篠﨑繁実氏よりご挨拶をいただきました。
篠﨑委員長はAWに関連し、「家畜を健やかに育てることは酪農家の職業倫理であり、生産性の向上や乳質の安定にもつながる」と述べ、AWが持続可能な酪農経営を支える重要な取り組みであるとの考えを示されました。
さらに、農林水産省においてAWの取り組みが国の補助事業におけるクロスコンプライアンス要件として検討される中で、「私たち酪農家は、自らの取り組み状況を改めて確認し、対応を進めていく必要がある」と述べました。
一方で、AWへの取り組みは、地域条件や経営規模、労働環境などによって状況が異なることから、一律に進めることが難しい側面もあるとしながらも、本懇談会を通じて酪農乳業双方が相互理解を深め、より良い取り組みの方向性を見出していくことの重要性を呼びかけました。

持続可能な酪農乳業の実現に向けて (代表取締役社長 佐藤雅俊)

続いて、当社代表取締役社長の佐藤雅俊が挨拶を述べました。
佐藤は、酪農乳業の持続的な発展に向けては、需給面での対応に加え、社会からの信頼に応える取り組みがこれまで以上に重要になっているとした上で、「AWは、家畜の健康と快適性に配慮した飼養管理を通じて、生産性の向上や安全な畜産物の安定供給につながる重要な考え方であり、近年は消費者や取引先からも『安全・安心』に加えた新たな価値として対応が求められている」と述べました。
また、当社グループが本年4月に制定した「雪印メグミルクグループ AW方針」に基づき、関係団体と連携しながら取り組みを推進していく考えを示すとともに、本懇談会を通じて酪農乳業双方が理解を深め、率直な意見交換を行うことの重要性を呼びかけました。

雪印メグミルクグループAW方針のご紹介 (雪印メグミルク 酪農部)

続いて酪農部から、「Jミルク 酪農乳業AWポリシー」および「雪印メグミルクグループAW方針」について情報提供いたしました。
近年、酪農乳業においては人権尊重への対応や環境負荷低減に加え、AWの推進が重要な社会的責任として求められています。そのなかで流通業界においても、持続可能な調達方針の中で動物福祉への配慮が明確に位置付けられ、酪農乳業に対する期待が年々高まっていることを紹介。
さらに、AWは特定の施設や設備の導入を求めるものではなく、「家畜の健康を保ち、快適性に配慮した飼養管理」であることが原則であり、国際獣疫事務局(WOAH)が示す「5つの自由」を基本としながら、牛の健康状態や行動に配慮した日々の管理が重要であるとの認識や、農林水産省の調査結果をもとに、多くの酪農家が日々の牛群観察や搾乳時の配慮、削蹄、牛舎の衛生管理など、既にAWにつながる飼養管理を実践していることを紹介し、日本の酪農現場が長年培ってきた飼養管理そのものがAWの考え方と深く結びついていることを説明。
その上で、本年1月に制定された「Jミルク 酪農乳業AWポリシー」および4月に制定した「雪印メグミルクグループ AW方針」は、乳用牛の適正な飼養管理の実践を通じて、生産性の向上と安全で信頼される国産乳製品の安定供給を目指すものであり、酪農乳業が一体となって普及・推進していく重要な取り組みとして位置付けています。
最後に「AWの推進は、社会から求められているから行うものではなく、牛の健康と幸せを通じて、生産者、地域社会、そして消費者の幸せにつなげていくための取り組みである」と説明し、酪農乳業が共通の価値観を持ちながら取り組みを進めていくことの重要性を訴えました。




酪農生産現場における実践事例を共有

続いて、酪青研副委員長のお二方より、各々の牧場におけるAWの取り組みについてご報告いただきました。

都府県/A牧場

A氏からは、牛の健康状態を確認するためのバルク乳検査や聴診、月1回の削蹄、過搾乳防止に向けたミルカーの早期離脱の徹底、暑熱対策としてのソーカーシステム※や送風設備の活用など、牛の健康と快適性を重視した飼養管理について紹介がありました。
また、乾乳期管理の重要性や、牛への負担軽減を目的とした無角遺伝子の活用などについても説明があり、牛舎環境の改善や牛群改良を通じたAW向上への取り組みについて報告されました。
さらに、社名に込められた「命への感謝」を経営理念の根底に据え、毎年開催している牛魂祭や牧場体験ツアー、サポーター制度など、生産現場の実態や命の大切さを消費者へ伝える活動についても紹介されました。
A氏は、酪農家は生命の誕生に向き合うだけでなく、時には経営判断として牛の死にも向き合わなければならない立場にもあることに触れ、「牛たちの命の使い道を考え、その命に責任を持つことが酪農家の使命である」と述べるとともに、生産現場の実情を広く理解してもらうことが、今後のAWへの理解醸成につながるとの考えを示されました。

  • ソーカーシステムとは、牛の体に大粒の水を直接かけて送風で気化させ牛の体そのものを冷やす方式

都府県/B牧場

B氏からは、東日本大震災による原発事故の影響で牛乳の出荷停止や牧草給与の制限を経験し、先の見えない状況の中で牧草地の除染や土壌改良に取り組みながら牧場経営の再建を進めてきた経緯について紹介いただきました。
その過程でB氏は改めて「健土健民」の理念に立ち返り、現在も放射線測定やバルク乳検査が継続される中で、フレッシュTMR※の給与や連続水槽による飲水管理と温水給与、定期的な牛群診断、防寒対策に加え、弱い牛や分娩後の牛をカラスから守るため、レーザービームを活用した対策を行うなど、牛一頭一頭の状態に寄り添った飼養管理を実践しているとのことです。
B氏は、「牛が快適に過ごせる環境づくりを日々積み重ねることこそがAWである」という考え方を持ちながらも、酪農は生命の誕生だけでなく死にも向き合わなければならない難しさがあることにも触れ、「牛乳は学校給食や病院食など、様々な食の場面を支えており、人々の命や暮らしと深く関わっている。そのことを忘れずに営農を続けていきたい」との熱い想いを語られました。

  • フレッシュTMRとは、製造したその日のうちにそのまま給与する完全混合飼料(TMR)

活発な意見交換を実施

その後、意見交換が行われ、消費者や一般の方々に対して生産現場の実情を正しく理解してもらうことの重要性や、人間の感情を家畜に当てはめるのではなく科学的な根拠に基づいて説明することについて、意見が出されました。また、「牛と人それぞれの役割を尊重しながら、双方のパフォーマンスを高めていくことが大切である」との考えも示されました。

篠﨑委員長からは、「今回実施したAWに関する確認調査は他の酪青研会員にとっても有益であり、今後組織的に取り組みを拡大すべきである」との見解が示されました。また、今後AWへの対応がより重要となる中、「生産者としても乳業メーカーと連携しながら取り組みを進めることで、自信を持って自身の経営や生産活動を発信できるのではないか」と今後への期待を述べられました。

最後に社長の佐藤は、雪印メグミルクグループ AW方針を制定するにあたり、「その推進方法について難しさも感じていたが、本日の情報提供を通じて、AWの根底には牛と人との信頼関係や愛情があることを改めて理解することができた」と述べました。また、日々愛情を持って酪農に取り組む生産者への敬意を示すとともに、「皆様からいただいた大切な生乳により高い付加価値を添えて、消費者へ届けていきたい」と総括されました。




今後に向けて

今回の酪農懇談会では、AWは単なる技術的な対応ではなく、牛の健康や快適性を第一に考えながら、酪農生産者と乳業メーカーが共通の価値観を持って取り組むべき課題であることを改めて認識する機会となりました。
弊社グループでは、今後も酪農家や関係団体との連携を深めながら、AWの普及・浸透を図り、持続可能な酪農乳業の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

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