CHEESE in the world

France

フランス
北部・北東部
  • オー=ド=フランス圏
  • グラン=テスト圏
  • ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ圏(一部)

イル・ド・フランスの東側の崖を下ると、広大なシャンパーニュの大地を見ることができます。かつてはシャンパーニュの荒地と呼ばれた貧しい土地でしたが、今では豊かな耕地に変わっています。17世紀にオーヴェレール修道院のドン・ペリニョン僧によって作りだされたと言われている、世界的に有名な発泡酒「シャンパン」の産地です。

シャンパーニュ地方の南側はワインの産地として有名なブルゴーニュ地方で、森や林、湖のある自然豊かな風景に変わっていきます。また、東へ向かうとロレーヌ台地の穀倉地帯、北へ向かえばベルギー、ルクセンブルグ、ドイツとの国境、東側はヴォージュ山脈です。ヴォージュ山脈を越えた東側はアルザス地方になります。
流れの激しいライン川やヴォージュ山脈を控え、数々の作物を栽培しており、特にワインを中心とした産業が盛んで、ドイツとの交流が他にはない食文化を生み出しています。

フランス北部・北東部生まれのチーズ

  • マンステール

フランス東部、ドイツとの国境のアルザス地方ヴォージュ山脈にあるマンステールの谷が原産のチーズ。この谷に修道院を建てた修道士たちが放牧を行い、チーズを作るようになったのが始まりです。

  • シャウルス

ブルゴーニュの修道士によって12世紀頃に作られた、長い歴史を持つチーズです。なめらかな白カビに包まれた表皮は薄く、中身は濃厚でフルーツの香りが混じった芳香があります。

  • ラングル

シャンパンの産地としても有名なシャンパーニュ地方のラングル高原が原産地のチーズです。表面に泉(fonteine=フォンテーヌ)と呼ばれる窪みがあることが、一番の特徴です。

  • エポワス

ウォッシュタイプのチーズの代表格のチーズ。ブルゴーニュ地方のエポワス村からその名前が付きました。クセの強い刺激的な香りがありますが、牛乳のやわらかな甘みと濃厚なコクのある味わいです。

フランス北部・北東部のチーズを使ったレシピ

フランスのチーズ豆知識

山の東側と西側に同じチーズ!?

イメージ写真

アルザス地方を代表するチーズにマンステール(munster)があります。668年にできたヴォージュ山脈の東側にあるマンステールの谷の修道院で作り出されたため、修道院を意味する「Monastere(モナステール)」がなまり、マンステールの名前がついたといわれています。
中世には、このチーズの製法がヴォージュ山脈を越えて西側のロレーヌ地方にも伝わり、今では山の東側と西側で同じチーズが作られています。西側で作られたチーズは「マンステール・ジェロメ」と呼ばれ、1969年にA.O.P.の資格を取得した際には、このような背景から西側で作られるこのチーズはマンステール=ジェロメと、両者の名前が付いた形で認知されました。
※A.O.Pは、2009年よりA.O.C(原産地名称統制制度)から移行しています。

チーズの泉にワインを注いで召し上がれ!

シャンパンの産地としても有名なフランス・シャンパーニュ地方ラングル高原が原産地のチーズ、ラングル。一番の特徴は、表面に泉(fonteine=フォンティーヌ)と呼ばれる噴火口のような窪みがあること。熟成期間中にチーズを一度も反転させないため、熟成に伴いだんだんと窪みが深くなり、ラングル独特の大きく窪んだ形状が生まれます。通はこの窪みに少量のマール・ド・シャンパンやマール・ド・ブルゴーニュを注いで楽しむとも言われます。フォンティーヌに、白ワインに漬けたドライレーズンとドライオレンジをのせて、器に見立てたアレンジも素敵です。

<参考文献>

  • チーズ&ワインアカデミー東京著「チーズ」株式会社西東社
  • 岡部隆男編「Cheese」(別冊25ans ELEGANT COOK)婦人画報社
  • 「プロのための乳製品ハンドブック CHEESE」 社団法人 日本乳製品協会/社団法人 全国牛乳普及協会 編集・発行

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