CHEESE in the world

France

フランス
中央部
  • イル=ド=フランス圏
  • サントル=ヴァル・ド・ロワール圏
  • ヌーヴェル=アキテーヌ圏(一部)

フランスといえば首都パリを思い浮かべる方も多いと思いますが、そのパリを中心に半径約150kmの範囲で広がるイル・ド・フランス地方は、フランス王国成立の核となった土地です。 緑豊かな田園地帯で、南東部にはフランス有数の森林フォンテーヌブローがあり、中世は王侯貴族の狩猟地でした。 このイル・ド・フランスの東側の台地ではブリーと呼ばれるチーズが作られています。「西のノルマンディ(カマンベールの産地)、東のブリー」と対比され、ブリーはカマンベールと並ぶフランスの代表的なチーズです。
また、ロワール川流域に広がるロワール地方は、美しい風景あふれる「フランスの庭」と言われています。

フランスを南北に分けるロワール川は、長さ1020kmに及ぶフランスで一番長い川です。長い流域には美しい自然が残されており、本流や支流には自然の渓谷を生かして多くの城が建築されました。要塞としてはシノン、優美な建築の城としてはシャンボールやアンジェなどが有名です。
暑からず寒からずの気候とパリから比較的近いことから独自の文化が形成された地域でもあります。平穏な時には自然の中で狩猟や釣りをし、それらの収穫物を料理する食文化があります。また、ロワール川北では小麦の栽培が盛んで、牧草地の多い地域です。逆に南側は主にブドウの栽培や牧草地に利用されています。

フランス中央部生まれのチーズ

  • ブリ・ド・モー

パリの東からシャンパーニュまでのブリ地方を代表する白カビタイプのチーズ。洗練された豊かで深いコクがあり、熟成すると中身がとろりとなって、気品のある味わいが楽しめます。

  • ブリ・ド・ムラン

フランス人が「フリュイテ」と表現する独特の芳香があって、強い個性がありますが、味わいは繊細です。ブリ・ド・モー、クロミエとともに、「ブリ3兄弟」といわれています。

  • サント・モール・ド・トゥレーヌ

山羊のミルクを使ったチーズ特有の強い個性があり、表皮に木炭をまぶした細長い円筒形をしていて、中心に型崩れを防ぐための藁が通されています。

  • クロタン・ド・シャヴィニョル

フランス・ロワール地方のシャヴィニョル村という小さな村で作られているチーズで、シェーブルタイプのチーズとして人気のあるものの一つです。専用のクロタンナイフがあります。

フランス中央部のチーズを使ったレシピ

フランスのチーズ豆知識

チーズの王様

ブリーが世界的に有名になったのは、ナポレオン戦争後の1814年~1815年に開かれたウィーン会議のときのこと。会議の息抜きとしてヨーロッパ諸国の30名以上の大使たちが一同に介して行ったチーズ比べで「チーズの王様」と宣言されたのです。このブリーには同じ地域でうまれた「ブリ3兄弟」と呼ばれるチーズがあり、大型で華やかな長男「ブリ・ド・モー」、野性的な次男「ブリ・ド・ムラン」、上品な三男「クロミエ」、食べ比べて味わいの違いを楽しんでみても良いですね。

ブリーはルイ16世の大好物

今からおよそ200年ほど前、フランスの国王ルイ16世は革命派の手を逃れてパリを脱出したのですが、ヴァレンヌという町で捕らえられてしまいます。その際、食いしん坊の彼はワインとチーズを所望し、自ら大きなかたまりを切り取って食べたとか。そのとき食べたチーズがブリーだったと言われています。

藁を通したチーズ

シェーブルタイプのチーズ‶サント・モール・ド・トゥレーヌ″はカール大帝の時代(8~9世紀)、サン・マルタン修道院での祝宴には必ずこのチーズが出されたと言われる古いチーズです。型から外したチーズがこわれないように、中心に藁1本通っているのが特長です。熟成は最低10日間。若いチーズは新鮮な酸味がありやわらかなチーズですが、熟成が進むにつれて水分が抜けて硬くなり、表面は細かいしわがより、グレーに変化し風味が増していきます。

<参考文献>

  • チーズ&ワインアカデミー東京著「チーズ」株式会社西東社
  • 岡部隆男編「Cheese」(別冊25ans ELEGANT COOK)婦人画報社
  • 「プロのための乳製品ハンドブック CHEESE」 社団法人 日本乳製品協会/社団法人 全国牛乳普及協会 編集・発行

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