フランス - チーズで世界旅行【チーズの産地】:チーズクラブ

フランス

現在、チーズは世界の各地で作られていますが、その種類や食べ方は各国さまざま。そこで、各国それぞれでよく食べられているチーズや有名なチーズのエピソードなどのチーズ事情を国別にまとめてみました。
あなたがお好きなチーズはどの国のチーズ?

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世界地図 国旗

フランス チーズ事情

「1つの村に1つのチーズ」といわれるほど、フランスにはさまざまな種類のチーズがあります。近年では、そのおいしさを保つために原産地呼称に関する法律で、伝統的な手法で作られているチーズを保護しているのです。

豊富な種類

フランス人の1人あたりの年間消費量は約26kg(2009年時点)で、日本人のおよそ14倍以上にもなります。
この1人あたりの年間消費量は世界で2番目ですが、生産しているチーズの種類の豊富さは世界一です。

誰も知らない!?

第二次世界大戦中、フランスの全土がドイツ軍に占領された当時、イギリスの首相ウィンストン・チャーチルが「400種類ものチーズを創造した民族が滅亡することはあるまい」と言った話をご存じですか?
また、フランスのドゴール大統領が「600種類ものチーズをもつ国を統治するのは困難である」と嘆いた逸話も有名です。資料によっては300種類になったりするなどその数は正確なものではないようですが、それにしても膨大な種類であることはまちがいありません。しかも、古代ローマの昔、2000年も前から誕生しているチーズもあるというから驚きですね。

1つの村に1つのチーズ!?

フランスでは、チーズに地名や町村の名前をつけているものがたくさんあります。ノルマンディの名品、カマンベールリヴァロ、ポン・レヴェックなどはそのまま村の名前に由来しています。
さらに、パリ近郊のモーには有名なブリ・ド・モーがあり、クロミエの町にも同名のチーズがあります。その他にも、ロックフォールマンステルヴァランセなどなど…。
では、さっそくチーズをめぐるフランス国内の旅に出かけましょう。

フランス編 〜チーズ物語〜

カサノヴァが讃えたマリアージュ

フランスでは、ワインや食べ物の取り合わせに“マリアージュ(結婚)”という表現を使います。つまり、いい相手が見つかれば幸せになれるというわけです。そこで、有名なのがあのイタリアのプレイボーイ、カサノヴァの言葉。「ロックフォールを食べ、シャンベルタンを飲めば、消えかけた愛は再び燃えたち、芽生えたばかりの恋はたちまち成就する」と、チーズとワインのマリアージュのすばらしさを強調しているのですが、この言葉でロックフォールとシャンベルタンが爆発的に売れたとされています。
そうそう、フランスでは個人の好みを越えて、ある土地の食べ物は同じ土地のワインによく調和すると言われています。試してみてはいかがですか?

ロックフォールの故郷を訪ねて

フランスが最も誇るチーズが“ロックフォール”。
古代ローマの遺跡や文化が残る南フランスのモンペリエから北に80kmほど入ると、不毛の石灰岩高原にある小村ロックフォールに着きます。そこには約6000〜7000年前、近くの山に大噴火が起き、火山帯の崩壊と陥没によって生まれたカルデラのひとつ、カンバルー山があります。このカンバルー山にできた自然の洞窟の奥にある湿った岩肌には、この中だけに生える青カビ(ペニシリウム・ロックフォルティー)が幻想的な美しさを見せています。岸壁の隙間から吹き流れる冷たい湿った風は“フルリーヌ”と呼ばれ、洞窟の中を常に8〜9℃、湿度90〜95%に保っています。“フルリーヌ”は中世のプロヴァンス語の「Flouri」が語源で、花が咲く、白カビが生えるという意味を持ち、ロックフォールの青カビをよく育てる意味からつけられたもの。ロック(ROQUE)は岩のROCHEで、フォール(FORT)は城塞の意味があり、カンバルー山の岩壁にへばりついた小村にふさわしい名前です。
ロックフォールは、ラコーヌ種と呼ぶ毛足の短い羊の乳から作られます。作物がほとんど育たない石灰岩質の高原のため、岩の割れ目から生えた細い草がかえって羊の乳を濃くし、芳醇な風味を作るのだと言われています。6ヵ月から9ヵ月くらいかけると、よく熟成させたチーズは舌触りもとろっとなめらかになり、ピリッと刺すような味と豊かな香りが口の中に広がり、チーズ通やワイン通にはこたえられません。
その昔、ローマ法皇の夏の別荘があったシャトー・ヌフ・デュ・パープ村で作られた赤ワインが大変すばらしく、ロックフォールと共に法皇が愛飲したという説もあります。

<参考文献>

  • チーズ&ワインアカデミー東京著「チーズ」株式会社西東社
  • 岡部隆男編「Cheese」(別冊25ans ELEGANT COOK)婦人画報社
  • 「プロのための乳製品ハンドブック CHEESE」 社団法人 日本乳製品協会/社団法人 全国牛乳普及協会 編集・発行

フランス編 〜チーズをめぐる旅〜

フランスは、スイスやドイツ、ベルギーなど国境を隔ててさまざまな国とつながっています。その国境沿いにチーズの名品が生まれているのです。

エメンタール

スイスとの国境沿い

エメンタールやグリエール、コンテ、ボフォールが作られています。

マンステル

ドイツとの国境沿い

ボージュ地方では、7世紀の昔からマンステルが作られています。このチーズはライ麦のわらをベッドにして2ヵ月熟成させたものです。

マロワール

ベルギーとの国境沿い

960年に、マロワール修道院で無名の修道僧によって作られたマロワールチーズが有名です。このチーズ誕生を祝う1000年祭が1961年5月、マロワール大修道院で行われました。

ヌシャテル

パリ北西からノルマンディ地方にかけて

スイス人のアドバイスで、チーズカードにクリームを入れて作ったチーズ“プチスイス”が有名です。さらに、チーズの形が名前を決めているヌシャテルには、四角いカレやハート型のクールなどがあります。

カマンベール

ノルマンディ地方詳細

世界的に有名な3つのチーズ、カマンベール、ポン・レヴェック、リヴァロの産地です。

オッソイラティ

スペインとの国境沿い

スペイン料理の影響を受けて香辛料の入ったチーズや羊のミルクで作るオッソイラティなどがあります。

ロックフォール

カンバルー山

世界3大ブルーチーズのひとつ、ロックフォールの産地です。このロックフォールはフランス最古のチーズとして知られ、中世以降は「チーズの王様」と呼ばれるようになりました。1411年にはシャルル6世により、ロックフォール村に対してその伝統的チーズ製造の独占権が与えられ、現在もAOPによって保護されているのです。

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フランス編 〜チーズの話あれこれ〜

チーズの中のチーズです

時は1815年、場所はあの音楽の都ウィーン。そう、ヨーロッパ列強諸国の代表が一堂に会して行われた、あの有名な“ウィーン会議”でのお話です。
およそ1年近くも続いたこの会議、映画『会議は踊る』でおなじみのようにその間、会議らしい会議はほとんど開かれず、権謀術策を駆使した饗宴外交が繰り返されるばかり。そんなある日、自分の国からおいしいチーズを持ち込んでのコンテストが開催されました。発案者はフランス代表のタレーランです。
当時、フランスの都パリで“おいしいチーズ”と言えば、近郊のモー村で作られるブリ・ド・モー。そこで、タレーランは「ブリーこそ世界一!」と強く推したのですが、これに激しく反駁したのがイギリス代表団の一人カースルリーグ卿。「ストルトンこそ」と一歩も譲らない一方、オランダのフォーク男爵も「いや、絶対にリンバーガーだ」と反撃するなど、それぞれ自国のチーズが1番!ともめるばかりで決着がつきません。
そこで、タレーランのはからいで日を改めて決めることにしたところ、チーズの王様として選ばれたのがブリ・ド・モー。このおかげで、フランスは敗戦国にもかかわらず面目を保ったのです。フランスの一地方のチーズがこれほど世界的に有名になったのは、まさしくウィーン会議のおかげというわけですね。

豆知識

ブリーはルイ16世の大好物

今からおよそ200年ほど前、フランスの国王ルイ16世は革命派の手を逃れてパリを脱出したのですが、ヴァレンヌという町で捕らえられてしまいます。その際、食いしん坊の彼はワインとチーズを所望し、自ら大きなかたまりを切り取って食べたとか。そのとき食べたチーズがブリーだったと言われています。

カマンベールはマリーが発案

最近、食卓でよく見かけるチーズのひとつ、カマンベール。そのカマンベールは、今からおよそ200年ほど前、フランスのノルマンディー地方の小村、カマンベールに住むマリー・アレルという農家のおばさんが作ってナポレオン1世に献上し、称賛されたという逸話があります。ところが、それは同名の娘のマリーがナポレオン3世に献上したという説もあるのです。どちらにしても、ナポレオンのおかげでこれまた一地方のチーズが一躍有名になったわけです。
さらに、1928年、カマンベールで儲けたアメリカ人が、カマンベール村に近いヴィムーティエにマリーおばさんの像をたてたことから、カマンベールはフランスを代表するチーズのひとつになりました。

豆知識

本物は“カマンベール・ド・ノルマンディー”だけ

フランスのカマンベールといっても、それぞれ作られた場所や原料乳、製法などによって味や香りに大きな差があります。
フランスでは伝統的なチーズに対して、その原産地を限定して伝統的な製法や優れた品質を法的に保護するため、AOPの呼称が与えられています。このAOPの条件は非常に厳しく、ロックフォールやブリ・ド・モーなど27種類のチーズにだけAOPの呼称が許されています。
そしてカマンベールの場合、“カマンベール・ド・ノルマンディー”だけがAOPの資格を持っているのです。それだけに、“カマンベール・ド・ノルマンディー”と名付けられたチーズはそれはそれはおいしいチーズなのです。

ごしごし洗うからウオッシュ

カマンベールのふるさと、ノルマンディー地方はフランスの北端にあたりますが、ドーバー海峡を流れる暖流の影響で1年中細かい雨が降り、ほどよい気温と湿度が保たれるためいつも青い牧草が育っています。特に、ペイ・ド・オージュ地区では起伏の多い地形を生かし、おいしい牧草を食べている乳牛をよく運動させるためか、ここの乳牛は大変香りのよい濃厚なミルクを出すことで知られています。
この地区はポン・レヴェック村、リヴァロ村、カマンベール村などが南北に連なる“チーズ街道”として有名ですが、カルヴァドスやシードルの名産地としても知られています。というのも、この地方はぶどう栽培の北限を越えるためか、フランス内では珍しくほとんどぶどう畑がないかわりにリンゴ畑が多いのです。その畑からとれるリンゴで作るシードルやカルヴァドスがとてもおいしいというわけ。
そこで登場したのが、このおいしい乳から作ったチーズを何度も地酒で洗って熟成させる製法。ノルマンディ地方ならシードル(リンゴ酒)やカルヴァドス(シードルをさらに蒸留して作ったブランデー)、ブルゴーニュ地方ならマール(ワインのかすから作ったブランデー)などで洗って熟成させることから、“ウオッシュチーズ”と呼ばれるようになりました。

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豆知識

外皮をむいて、無塩バターと食べるとずっとマイルドに

ウオッシュ・タイプのチーズの特長は、外皮がオレンジ色で芳香が強いこと。というのも、チーズの表面をお酒で洗いながら熟成させるため、表面についた特殊な微生物がたんぱく質を分解する衝撃的な匂いがするのです。
そこで、香りと塩分の強い皮はナイフで削って、中身だけを食べましょう。それでも食べにくいときは、パンに無塩バターをぬってチーズをのせて食べると味がずっとマイルドになります。また、皮をはずしてオーブンで焼き、あつあつのポテトと一緒に食べてもおいしいですよ。
このタイプのチーズにおすすめのお酒は、ボルドーまたはブルゴーニュ産の力強い赤ワインやカルヴァドス。特に、リヴァロとカルヴァドスという組み合わせは有名です。

<参考文献>

  • チーズ&ワインアカデミー東京著「チーズ」株式会社西東社
  • 岡部隆男編「Cheese」(別冊25ans ELEGANT COOK)婦人画報社
  • 「プロのための乳製品ハンドブック CHEESE」 社団法人 日本乳製品協会/社団法人 全国牛乳普及協会 編集・発行