今月の
エッセイ

5・6

2021

料理は限りなく楽しい
夫が残してくれた
アルミ製の大鍋

私の夫はおいしいものが大好きで、私の料理をいつもいちばん身近で厳しく、でも今振り返るととても正しく見ていてくれたように思います。料理をするのも好きな人だったので、プロが使うような寸胴や半寸胴の鍋をサイズ違いで揃えて家族にはもちろん、おもてなしのときなどもこの鍋で本格的なビーフシチューやコーンドビーフ、水を使わず牛乳だけで作るミルクカレーなども作ってくれました。
私が今、コンロにかけている鍋は直径36㎝の半寸胴鍋です。ここまで大きいと使う場面はそう頻繁にはありませんが、春先、たけのこを沢山いただいて一刻も早くゆでねば、というときなど大鍋を総動員します。撮影中のまかないの昼ごはんで、おでんやカレーをたっぷり用意したり、煮豚を大きなかたまり肉で5~6本煮込んだり、ラーメンスープを鶏ガラで取るようなときもこの大鍋が役立ちます。先日、娘が「大鍋、貸して」と言っていましたので、いずれ子どもたちが使ってくれたら夫も喜ぶのではと思っています。