今月の
エッセイ

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2021

料理は限りなく楽しい
味見が習慣になると
毎日の料理がおいしくなります

私の母は料理上手な人でした。あるときふたりで料理の話になったとき、母は「贅沢をするわけじゃないけど、うちで作って食べることが大事だから、いい素材を探して、どうしたらおいしく作れるか考えるの。」と言っていました。私が小学校に入ったころから、母は煮ものや汁ものができると台所に私を呼んで、必ず味見をさせていました。子どもなりに「ちょっと薄い」とか「もう少しお砂糖」とか応えていた覚えがあります。そのおかげで舌が鍛えられた気もしますし、 母がよく言っていた 「調味料を入れてはい、でき上がりではない」ことも経験的に学びました。
その味見の大切さを伝えたくて、私はデミタスカップほどのミニカップを作りました。味見はスプーンとか小皿とか、そのつどいろいろなものでできるのですが、そうすると次第にやらなくなる気がします。これがお味見カップ、と決めて定位置におき、味見が習慣になると、毎日の料理がおいしくできるようになると私は信じています。