今月の
エッセイ

12

2020

料理は限りなく楽しい
卓上の調味料を載せたプレートにも
キャンドルや赤い実を飾って

2020年は暮らしを見直すきっかけになった一年でした。戸惑い、落ち着かない日々の中でも、家で過ごす時間が増えたことを前向きに考えようと気持ちを切り替えた人も多かったはずです。私は新しい料理の試作に精を出し、たれや手作り調味料、保存食作りなどに夢中になりました。ふだんから整理整頓が好きなので、このときとばかり張り切って家じゅうくまなく片づけもしました。庭やキッチン、リビングの中の日常を、インスタグラムで毎日発信。夜ひとりの時間は集中できるので英語の勉強も続けています。
それでも抜け落ちた日常があるのがさみしくて、季節に追いつけないまま12月を迎えたような気がします。クリスマス飾りはいつも1か月かけて少しずつ準備し、イブもにぎやかに過ごしていましたが、今年は静かにゆっくりと過ごすつもりです。
キッチンの小さなクリスマス飾りのひとつは、柑橘の香りのキャンドルとオリーブオイルの小ビンや塩、こしょうを載せたプレートに、庭のローズマリーやローリエの葉、赤い実を添えたもの。料理にレモンの皮をすりおろすときは、丸ごとのレモンとおろし器も載せて卓上に置くだけで、12月らしいテーブルに。一日一日、小さなことを積み重ねながら一年が締めくくれたらいいと思っています。