ヴァランセ - チーズの名称【チーズ辞典】:チーズクラブ

ヴァランセ

チーズの名称では、いろいろなチーズの原産国や特徴、食べ方などを紹介しています。

ヴァランセ

その他の表記・呼ばれ方
  •  ヴァランセ
  •  バランセ

英語・仏語表記:Valencay

種類:シェーブルタイプ

乳種:山羊乳


ヴァランセとは

ヴァランセは、独特な四角すいというユニークな形をしています。この形には逸話が残されていて、元々のヴァランセはピラミッドの形をしていたものが、エジプト遠征に失敗したナポレオンの怒りを買って切り落とされたのだとも言われています。
表皮には灰をまぶしてあるため黒く、切ったときの白い断面との対比が美しいチーズです。この灰がまぶしてあるのは山羊のミルクのチーズ独特の酸味をやわらげたり、濃厚な味わいを加えるカビを定着させるためです。
熟成が進むと表皮が黒からグレーに変化していきます。熟成しきったものは硬く、ポロポロと崩れるようになります。
春の終わり頃から作られ始め、秋になった頃が特においしいチーズです。


製法

温めたミルクにレンネット(凝乳酵素)を加えて、カゼイン(主な乳たんぱく質)が凝固したもの(凝乳)からホエイ(乳清)を除去したものをカードといいます。
底のあるピラミッド形の器にそのカードを詰めて形成、そのまま更に水切り後、取り出して逆さにし、塩と木炭の粉を混ぜたものをまぶして空気を循環させた湿度の高い室内にて熟成させます。


産地

フランスのほぼ中央にあるロワール川流域のヴァランセ村で作られているチーズです。

チーズの産地 ロワール地方


食べ方

全面がカビに覆われたときが一番の食べ頃です。コクのある濃厚な味わいが楽しめます。
初心者の方には熟成が進んでいない若いヴァランセのほうが、山羊のミルク独特の臭みが少ないのでおすすめです。
熟成したヴァランセは、酸味が弱まり、甘みとナッツの香りが感じられます。
レーズンの入ったパンやリンゴとの相性もぴったりです。
熟成が進んで硬くなってしまったら、皮をのぞいてすりおろしてシチューなどの料理に使うとおいしく食べられます。
ハンドリナー(ワイヤーカッター)を使うと、組織が崩れにくく、くっつきにくいため美しくカットすることが出来ます。

<簡単レシピ>
・サラダに加える
・オードブルに

保存方法
チーズタイプ別保存方法
チーズの切り方のコツ
秋が旬のチーズ
チーズのタイプ別おすすめワイン

<おすすめワイン>

チーズのタイプ 相性のよいワインのタイプ
フレッシュ ・辛口の白ワイン
・ロゼワイン
白カビ ・フルーティな赤ワイン

チーズコラム

ピラミッドなんて見たくない

ヴァランセ

チーズの楽しみは味や香りだけでなく、その容姿にもあると思う。太鼓のような大物から、大福みたいにこじんまりしたもの。ヒョロッとしたういろう型やひょうたんスタイルなど興味は尽きない。このヴァランセはご覧の通りちょっと半端な四角すい。山羊乳チーズ特有の酸味を和らげるために木灰がまぶしてあるが、中は輝くように白く、ややねっとりとした柔らかな口あたりだ。このチーズはフランスのほぼ真ん中、ベリー地方のヴァランセ村で作られる。この村のヴァランセ城の主はナポレオン皇帝の腹心タレーラン公。エジプト遠征に敗れ憤懣(ふんまん)やるかたない皇帝との会食時に、もともとピラミッド型だったこのチーズがだされ、皇帝の怒りは頂点に。それ以来ヴァランセの頭は切られ、今のような寸詰まりになったという。こんな逸話も肴に、キリッと冷やした白ワインと味わうのがまたいいのである。

Photo:K.Nakazato Text:S.Ishi