「さけるチーズ」のアイディアのもとはモッツァレラチーズ!?
驚きの商品開発エピソード

モチモチとした食感と、つるんとしたお餅のような見た目のモッツァレラチーズ。フレッシュチーズの代表格で、クセがないミルクの味わいが、老若男女問わず好まれています。カットしたトマトとモッツァレラチーズを交互に並べた「カプレーゼ」も、イタリアンの前菜として広く知られていますね。そんな人気のモッツァレラチーズからヒントを得て生まれた、日本生まれのチーズの大ヒット商品があるのだとか。商品開発当時のエピソードをこっそりお教えします♪

モッツァレラチーズを「ちぎる」前に「伸ばして」みると・・・?

そもそも“モッツァレラ”の語源は、イタリア語で「ちぎる」の意味の“モッツァーレ”からきているそう。語源の通り、「カード」と呼ばれるミルクが凝縮したものにお湯を注いで練り、弾力が出たところで手で引きちぎって作られます。この「ちぎる」一歩手前のモッツァレラチーズを伸ばしてみると・・・なんとさける!?他のチーズにはないこのユニークな特徴こそが、「さけるチーズ」の誕生につながったのです。

一人の研究所員のアイデアから生まれた「さけるチーズ」

雪印メグミルクの主力商品である「さけるチーズ」が開発されたのは、山梨県小淵沢にあるチーズ研究所。発売から35年を過ぎた今なお、数あるチーズ商品の中でも“売れ筋”であり続ける「さけるチーズ」ですが、その開発の過程にはこんなエピソードがあるのだとか!
ある日、モッツァレラチーズを作っていた所員の一人がつぶやきました。「仕上げ段階でミョ~ンと伸ばしてひっぱると、キレイにさけて面白い!まるでサキイカみたいなんだ」。日本人のおつまみの定番サキイカのように、さけるチーズができたらヒットするのでは?そう考えた研究所員たちは、さっそく新しいチーズの開発に取りかかりました。
試作を重ねて完成した「さけるチーズ」は、最初は小淵沢エリア限定の小規模販売でしたが、まったく新しい食感と“さいて食べる”楽しさで大人気となり、その後全国に広まったのです。

共通点がたくさん!モッツァレラチーズと「さけるチーズ」

現在市販されている「さけるチーズ」の製法を調べてみると、ベースとなるチーズをお湯で温めよく練るところまでは、モッツァレラチーズの作り方そのもの。「さけるチーズ」のアイディアのもとはモッツァレラ、といわれるのも納得です!いずれのチーズも弾力ある食感が楽しめ、クセのない味わいも似ています。

【さけるチーズの作り方】

  1. 1.原料のナチュラルチーズを80℃のお湯につけ、しばらく置く
  2. 2.チーズが55℃くらいに温まったら、取り出してよく練る
  3. 3.チーズを引っ張って薄く伸ばし、折りたたむ
  4. 4.30秒ほどお湯につけて、チーズがくっついたら再度伸ばし、折りたたむ。これを何度も繰り返す
  5. 5.チーズが細長くなるように引っ張り、直径1cmくらいの棒状になったら、そのまま15℃の水につけて冷やす
  6. 6.適当な長さにカットし、塩水に漬けてから水を切る
  • 実際に試される場合は厚手のゴム手袋を使用してやけどに注意してください。

製造過程3~4で何度も薄く伸ばして折りたたむことで、伸びた部分が繊維状にキレイにさけるようになるのだそう。パイ生地や中華麺を作るのに似て、根気のいる作業ですが、このプロセスを経ることによって「さけるチーズ」のおいしさが生まれるのです。開発秘話を知ることで、ますます「さけるチーズ」に親近感がわいてきますね♪

Text:Akiko.T

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