2026年09月03日

  • 研究開発・調査

腸内細菌がつくる“D-アミノ酸”に新知見 ~ヒト腸内細菌 Phocaeicola dorei が持つ 新しい酵素の存在とD-アラニン・D-セリン産生を確認~

国際雑誌「BMC Microbiology」に掲載

雪印メグミルク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤 雅俊)は、秋田県立大学との共同研究により、ヒトの腸内にすむ細菌の一種「 Phocaeicola dorei(フォカエイコラ・ドレイ。以下、P. dorei※1」が2種類のD-アミノ酸※2を作り出すことを確認しました。D-アミノ酸は私たちの体内にも存在する成分で、チーズなどの発酵食品にも含まれています。近年では、腎臓や脳の働きとの関係が注目されています。さらに、この細菌からD-アミノ酸を作る酵素も新たに発見しました。今回の成果は、ヒトの腸内細菌がどのようにD-アミノ酸を作るのかを理解する手がかりとなります。また、腸内環境と健康がどのようにつながっているのかを解明する研究にも役立つことが期待されます。


【本研究のポイント】

・ヒト腸内細菌 P. dorei がD-アラニンおよびD-セリンを産生することを確認した

・従来とは異なる構造の酵素が、D-アミノ酸産生に関与する可能性を示した

・腸内細菌によるD-アミノ酸産生機構の理解を深める成果であり、健康との関係解明に向けた研究につながることが期待される

図1.P. dorei JCM 13471TによるD-アラニンおよびD-セリン産生

P. dorei を培養したところ、未培養の液と比較して、培養液中のD-アラニンおよびD-セリン濃度が有意に増加しました。D-アラニンは約2倍、D-セリンは約3倍となり、P. dorei がD-アミノ酸を産生する能力を持つことが示されました。

本研究の背景と目的

P. dorei は、ヒト腸内における優勢菌種の一つです。近年、腸内細菌が産生するさまざまな物質と健康との関わりが注目されており、D-アミノ酸もその一つです。アミノ酸にはL型とD型が存在します。私たちの体を構成するタンパク質は主にL-アミノ酸からできているため、生体内ではL-アミノ酸が圧倒的に多く存在します。一方、D-アミノ酸はごく微量しか存在しないことから、長らくその生理的役割は十分に分かっていませんでした。しかし近年、分析技術の進歩により、D-アミノ酸が脳や腎臓などの機能に関与することが明らかになってきており、その供給源の一つとして腸内細菌が注目されています。しかし、ビフィズス菌や乳酸菌以外の腸内細菌におけるD-アミノ酸産生能や、その産生機構については、いまだ十分に解明されていません。そこで本研究では、P. dorei に着目し、D-アミノ酸産生の有無と、その産生に関わる酵素の特徴を明らかにすることを目的としました。



■本研究に関する秋田県立大学のニュースリリースはこちら

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