ミディ・ピレネー - フランスのチーズの産地【チーズの産地】:チーズクラブ

チーズクラブ

ミディ・ピレネー

今回はサヴォア地方の北西にあるミディ・ピレネー地方についてご紹介します。

羊飼いたちが生きる不毛の台地
ミディ・ピレネー地方

アルザス・ロレーヌ地方にあるヴォージュ山地を源流とするソーヌ川は、フランス第二の都市リヨンの辺りで、サヴォア地方を源流とする大河ローヌ川に合流します。ローヌ川は水量を増しながら地中海に向けて南下します。

ローヌ川の河口付近は保養地として有名なプロヴァンス地方です。プロヴァンス地方を西に進むとフランスの中央山地の南端となるランドック地方に入ります。一面のブドウ畑が続くこの地方は、フランスワインの40%を生産しています。

この地を北上すると、中部山岳地帯が連なるミディ・ピレネー地方です。平均1000メートルの高地でコースと呼ばれる石灰岩の荒れ地が多い不毛地帯。夏は暑く、冬は寒風にさらされ、雨は台地に吸い込まれてしまいます。そんな土地で生活していたのは羊飼いたちです。羊の毛や乳を利用した生活の中で、どんなチーズを食べていたのでしょうか?

最初のAOCチーズ ロックフォール

ロックフォールは、世界三大ブルーチーズの一つで、青カビ(ペニシリウム・ロックフォルテ(*1))には伝説も残されている、歴史のあるチーズです。
1407年、シャールス7世が荒れた土地に住む貧しい農民たちにチーズ作りの専有権を認める認可証を出していたそうです。この認可制度が、後のAOCの発端となりました。そのため、ロックフォールは1925年、AOCに最初に承認されたチーズと言えます。

チーズの名前は一般的に製造場所の土地の名前がつきますが、ロックフォールの場合は熟成させる場所(土地)の名前がついているのが特徴です。熟成場所はコンパル山の洞窟になります。製造場所はこの洞窟から半径100km以内と広いのですが、必ずこの洞窟内で3ヵ月以上熟成されていないとロックフォールと名乗ることができません。

直径20cm、高さ10cm、重さ2.5kgの円筒形のチーズで、羊の乳から作られます。表面は白っぽく、少し湿り気があります。青カビが中央より全体に広がっていて、少し大きめの空洞にカビが目立ちます。こくとクリームのような甘味が強い塩分とよく合い、青カビの香りを引き立てています。 現在の熟成管理会社は8社、11のブランドがありますが、日本には3つ程度のブランドしか輸入されていません。年間生産量は約1万8000トンほどです。

(*1)ーーロックフォール 青カビの伝説
昔むかし、羊飼いの牧童が洞窟の中にチーズを置き忘れていきました。数週間後に戻ったところ、チーズは青カビに覆われていましたが、食べてみたら大変においしかったそうです。

作り方

ラコーヌ種、マネッシュ種、コルス種、ペアルネーズ種の羊の乳から作られます。搾乳して集められた乳は32℃に温められ、乳酸菌と酵素を加えると、約2時間で凝乳(*2)ができあがります。それを切断、撹拌し、脱水しながら型に詰め、数日間18℃の部屋に置き、脱水を促進します。定期的に反転させながら表面に塩をすりつけ、5日後に洞窟に持っていきます。

洞窟はコンパル山地の石灰岩の陥没によりできたもので、縦の亀裂フルリーヌ(Fleurines)が空気の流れを作り、7℃~8℃の室温が維持されている場所です。この条件が、青カビ(ペニシリウム・ロックフォルテ)の生育に適しています。洞窟内でチーズは定期的に反転し、内部に酸素を送り込む穿孔を行います。カビの生育を確認した後、錫(すず)箔で覆い、出荷まで管理されます。

(*2)ーー牛乳を固めたもの

黄色いロックフォール? ブルー・デ・コース

ブルー・デ・コース

ロックフォールによく似たチーズにブルー・デ・コースがあります。ロックフォールに近いミヨー(Millau)を中心に作られ、作り方・熟成方法ともにがよく似ています。しかし、大きく違う点は原料が牛乳であること。ロックフォールの牛乳版といってよいチーズです。

直径20cm、高さ10cm、重さ3kgの円筒形で、黄色に近い象牙色をしています。中身は青カビが大理石模様を作り、なめらかでとろけるような組織です。ロックフォールと比べると黄色が強いのが特徴です。

1979年にAOCに認定されました。

デザートにもおいしい! ペラルドン

ペラルドンは、ワインの産地、ランドック地方の山あいで作られる山羊のチーズです。直径7cm、高さ2cm、重さ80gほどと小型です。山羊が食べる山の草や木の芽のために濃厚なこくがあり、酸味も塩味も十分に味わえるチーズです。産地では5~11月には「ジコンダ」というワインとともに楽しんだり、食事の終わりやおやつに食べたりします。

AOCに承認されたのは2000年8月とつい最近のことです。生産量は300トンとまだ少ないのですが、今後ファンを増やすチーズの一つでは?と注目されています。

チーズの産地 トップへ