サヴォワ - フランスのチーズの産地【チーズの産地】:チーズクラブ

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サヴォワ

フランシュ・コンテから国境沿いに南に進むと、サヴォワ地方です。ここではどんなチーズに出会えるのでしょうか?

アルプスの自然に恵まれたサヴォワ地方

北はスイスの国境、東はモンブランを主峰とするフランス・アルプスの山々がそびえるイタリアとの国境地帯で、アルプス山脈の懐にある地方です。ローマ帝国の伯爵領として認められてからサヴォワ家の領地として約900年の歴史があるため、イタリアとの交流も盛んで、独特の地域文化を形成しています。フランス国王領となったのは1860年のことです。

アルプスのことをフランスでは「アルプ」と呼んでいますが、この言葉には「夏だけ放牧される高地の牧場」という意味があります。アルプでは5月の雪解けの頃から9月中頃まで山を登り、その後段階的に山を下る移動式の放牧「アルパージュ」が行われています。かつては牧夫が動物と一緒に移動している間残った家族は農業を行っていましたが、現在は酪農と観光が主な産業です。

移動式放牧生活「アルパージュ」から生まれた ボーフォール

ボーフォールはフランスが誇る山のチーズの一つです。さわやかな芳香があり、味わいは濃厚です。かのフランスの美食家ブリア・サヴァラン(18〜19世紀)が「チーズのプリンス」と絶賛したといわれています。 6月〜10月の間に造られたものには「Ete(エテ)」と表記することが可能です。 同じ期間に標高1500m以上の高地で、単一牛の群れから1日に2回搾乳し、山のチーズ小屋(シャレ Chalet)で伝統的な製法で造られたものは「Chalet d’Alpage(シャレ・ダルパージュ)」と表記できます。 直径35〜75cm、厚み11〜16cm、重さ20〜70kgの円盤型、表面は黄褐色で固くしまっており、側面にくぼみがあるのが特徴です。中身は象牙色か淡い黄色で脂気のある柔らかな組織で、レニュール(lainures)と呼ばれる水平に細い亀裂やウズラの目(yeux de perdrix)と呼ばれる小さな気孔がみられます。
1968年にAOP(EU統一の原産地呼称保護)に認定されました。

※AOPは、2009年よりAOC(原産地統制名称制度)から移行しています。

作り方

温めたミルクに乳酸菌、レンネット(凝乳酵素)を加えることにより、カゼイン(主な乳たんぱく質)が凝固します。その凝固したもの(凝乳)からホエイ(乳清)を除去すると、カードができます。カードを麻布に集め側面がくぼんだ木製の型に入れ、20時間圧搾し、24時間食塩水に浸し表皮を作ります。熟成は最低5ヵ月、摂氏6℃〜12℃、湿度92%の室内で管理され、1週間に2度以上の頻度で表面に塩をこすりつけ、反転させます。その間にガスが発生するため、ウズラの目のような気孔ができます。

豊穣のチーズ アボンダンス

アボンダンス」はあり余るとか豊穣という意味をもつ言葉です。サヴォワ地方の北部が産地で、フランシュ・コンテ地方で作られるコンテボフォールと兄弟筋にあたります。
アボンダンス谷にあった大きな修道院の修道士たちが作っていたチーズが広まっていったそうです。教会の教皇を選出する際の会議がアヴィニヨンで開催された際、食事にアボンダンスが出された記録もあるとか。

直径38~43cm、高さ7~8cm、重さ7~12kgで側面はくぼんでいます。表面はしなやかで、弾力があり、濃い黄色から茶色をしています。中身は象牙色から淡い黄色で、ボーフォールと同じく気孔やレニュール(水平の細い亀裂)があります。ミルクのコクと味わい、ノアゼットの香りが特徴です。
1990年にAOCに認められ、年間700トンの生産を60数軒の農家と15の生産組合で行っています。組合で行っています。

2度目に搾られた濃いミルクから作られる ルブロション・ド・サヴォワ

ルブロション・ド・サヴォワは、ル=ブロッシュ(Re-blocher)、牛の乳房を2度摘む、という意味の土地の言葉が由来です。 13世紀頃は牛の放牧地は借地で、農夫は地主にとれたミルクの一部を支払う契約になっていました。そのため、見回りが乳量を調べにきたときはすべてを搾らず、後から残りの乳を搾ったそうです。残された乳は濃度が濃く、それで作られたチーズがルブロション・ド・サヴォワです。予備熟成と本熟成があり、製造後最低15日間は熟成庫におかれます。

直径14cm、厚さ3.5cm、重さ500gのチーズと、直径9cm、3cm、250gの小型のチーズがあります。チーズの上下は樅の木で挟まれていますが、表面は黄色から黄橙色で白カビに覆われています。中身は象牙色で、しっとりと濡れたような食感、かすかなかびの香りと木の実を思い起こさせる後味が特徴です。牛が耕地で過ごす夏の間に作られるチーズがお勧めです。
1972年にAOCに認定され、数10軒の製造所と組合で約1万5000トンほどが生産されています。

アルプスで作られる青カビチーズ ブルー・デュ・ヴェルコール・サスナージュ

ブルー・デュ・ヴェルコール・サスナージュは、アルプスの麓、ベルコス産地の標高1000mのところで14世紀頃から作られているチーズです。1338年に土地の領主アルベルト・サスナージュ男爵が村人の作ったチーズを自由に販売する権利を許可した文章が残っています。
直径30cm、高さ9cm、重さ6kgの円盤状で、表面は赤みがかっており、中身はクリーム色をした少し弾力性のある組織です。青かびチーズとしてはマイルドな味で、ほくほくした厚みのある舌触りが特徴です。製法はブルー・ド・ジェックスと似ています。AOCに認定されたのは1998年と最近のことで、現在8軒の製造所で200トンほど生産されています。

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