バターの基礎知識

バターの栄養について
気になるコレステロールやカロリーの量、
おいしく効果的な食べ方を知ろう

パンに塗ったり、料理の風味づけに使ったり……毎日の食事でバターを活用するシーンは数多くあります。そんなバターですが、実際にはどんな栄養を含んでいるか、みなさんはご存じですか?

ここではバターに含まれる栄養や、料理への効果的な取り入れ方、気になるバターのコレステロール量について紹介します。バターについて正しい知識を得て、毎日の食生活に役立てましょう!

Index目次

バターに含まれる栄養とは?

バター1箱(200g)には、約4.4ℓもの牛乳が使用されています。また、主な栄養として、脂質、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどを含むのも特徴。まずは、そんなバターの栄養や、それぞれの役割について見ていきましょう。

バター100gあたりに含まれる栄養

バターには、大きく分けて食塩を1~2%含んだ「有塩バター」と、食塩を含まない「食塩不使用バター」の2種類があります。ここでは、それぞれのバター100gに含まれる栄養を見ていきます。

バターの栄養(100gあたり)

エネルギー
kcal
たんぱく質
g
脂質
g
ビタミンA
μg
ビタミンD
μg
ビタミンE
mg
有塩バター 745 0.6 81.0 520 0.6 1.5
食塩不使用バター 763 0.5 83.0 790 0.7 1.4
※横にスクロール出来ます。

※一般社団法人Jミルク 牛乳乳製品の知識「バターの栄養」より

脂質など生活に欠かせない栄養がたっぷり

バターの栄養を語るうえで外せないのが、脂質の存在です。バターは約80%が脂質だとされています。これは食用油脂の中でもっとも消化がよく、吸収率はなんと95%! このことから、バターは胃腸の弱い方やお年寄りにもおすすめできる食品とされているのです。

また、バターは天然のビタミンAを豊富に含んでいるのも特徴。実は、バターの黄色みはビタミンAのカロテンの色の影響によるものなのです。カロテンは牧草に含まれる栄養で、肌や粘膜を健康に保ち、細菌に対する抵抗力を高める役割があります。また、骨や歯の発育を助け、視覚機能にも欠かせない栄養です。

ほかに、バターにはカルシウムの吸収に役立つビタミンD、老化を防ぐビタミンEなどが含まれます。

バターはコレステロールが高いの?

“バターはコレステロールが高い”…そんなイメージを持っていませんか?ここでは、バターに含まれる実際のコレステロール量について、見ていきましょう。

バター1食分に含まれるコレステロール量

バター100gあたりのコレステロール量は約210mg。たとえば食パンにバターを塗る場合、使用するバターは5~10g程度なのでコレステロール量は10.5~21mgです。厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人が食べ物から摂取するコレステロールの量に上限値はないものの、脂質異常症の重症を予防するためには200mg/日未満に留めるのが望ましいとされています。そのため、コレステロール値に問題がない人なら、食べ過ぎない限り心配ありません。

最近では、健康を意識してコレステロールの摂取量を注意する方が増えています。しかし、極端に気にしすぎて食べることを避けると、健康をそこなう可能性もあることを知っていますか?

多くの人が心配しているのは、血液中のコレステロールが過剰になり脂質異常症と呼ばれる状態になったケースです。コレステロール自体は細胞膜や各種ホルモン、胆汁酸を作る役割があるため、体に必要な物質。逆にコレステロールが不足すると、免疫機能の低下を招き、脳出血の危険が増加する危険性もあります。

まずは毎年しっかり健康診断を受け、コレステロール値が標準の範囲になっているかをチェックしましょう。その上で、自分の体の状態に合わせバランスよく栄養を摂ることが大切です。

バターはカロリーが高いって本当?

コレステロール量と同様、バターには「カロリーが高い」というイメージもあります。しかし、トースト2枚にバターを10g塗ったとしても、カロリーは74.5kcalほど。これは、同量のオリーブ油、ごま油、サラダ油など他の油脂類と比べて低い数値と言えます。

カロリーを気にして、バターを避ける方は少なくないでしょう。しかし、バターに含まれる動物性脂質は、人や動物にとって重要なエネルギー源となる栄養です。活力いっぱいの毎日を過ごすためにも、「バターを食べると太りそうで心配」という先入観にとらわれず、上手に食事に取り入れていきましょう。

バターには合成保存料が使われているの?赤ちゃんも食べて大丈夫?

食品添加物として指定されている化学合成品は香料を含み約829品目あり(2021年1月15日現在)、どの食品に対しどのように使うべきか、厚生労働省により細かい規制が設けられています。

バターには保存料や酸化防止剤の添加が許可されており、保存料が使用されていた時代もありました。しかし近年では、製造技術の向上と流通面の整備が進み、昔よりも短時間でわたしたちの食卓に並ぶようになったため、保存料不使用のバターを製造しています。そのため、赤ちゃんでも安心して食べられます。

ただし、保存料や酸化防止剤が添加されていないぶん、保存時は必ず冷蔵する必要があります。

「バターをなかなか使いきれない」という場合は冷凍保存する方法もあります。1回分(10g)をラップに包んで冷凍保存し、使用する分だけ冷蔵庫の中で解凍すればOKです。しかし、冷凍保存は「おいしさ」の面からはあまりおすすめできません。また、解凍後は使い切り、余っても再冷凍は避けましょう。

バターの上手な保存方法とは?
賞味期限やおいしく使い切るコツを知ろう

バターの栄養を効果的に摂るには?

先に説明した通り、バターに含まれる栄養の約80%は脂質です。食用油脂の中でもっとも消化がよいため、バターは1日に必要な脂肪分を効率的に摂ることができる食材と言えるでしょう。そのため、何かと忙しい時間帯の朝食にもバターは最適。シンプルにパンに塗って食べるのもよいですが、風味づけとして、スープや味噌汁に入れるのもおすすめです。これなら、バター特有の風味を楽しみながら手軽に栄養が摂れます。

バターは栄養を豊富に含むだけでなく、脂質の芳香と多くの微量成分が混ざり合うことで「風味」を、たんぱく質や糖質が加熱されることで「香ばしさ」が楽しめる食材でもあります。さまざまな食材に活用することで、おいしさも味わいながら栄養を効率的に取り入れましょう!

なお、料理中に「バターを焦がしてしまう……」という方もいるでしょう。バターにはたんぱく質などの乳成分が含まれているので、強火で加熱すると焦げてしまうことも。そのため、バターを使用する際はいきなり強火にはかけず、弱火~中火で溶かすのがベストです。また、素材をこまめに裏返し、バターがまんべんなく絡むようにしましょう。

栄養たっぷりのバターをおいしく取り入れよう

脂質特有の香りと風味、加熱によって生じる香ばしさ、なめらかさなどが楽しめるバター。ソースやソテー、お菓子に使うなどさまざまな食材と組み合わせて、脂質やビタミンAなど生活に欠かせない栄養を、楽しみながらしっかり取り入れましょう。

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