食ナゼ

からしとマスタード

20世紀前半のフランスを代表する詩人、アナトール・フランスは「愛のない物語は、からしのない牛肉のようなもの」 と書いています。

からしは何からできているのかご存知ですか?
また、おでんなどに付ける「からし(和からし)」とホットドックなどに付ける「マスタード(洋からし)」と、どう違うのでしょうか?

いずれも、菜の花の一種である、アブラナ科のからし菜から収穫される直径1mm〜2mmほどの球状の種子が原料になっています。
しかし、からし菜の品種は異なり、和からしはセイヨウカラシナの種子、洋からしはクロガラシやシロガラシ等の種子を使用しています。
和からしの種子は、独特のツーンとする辛味がありますが、洋からしには比較的柔らかい辛味成分の種子を使っています。

それらの種を搾って油を取り除き、粉砕、攪拌、乾燥、選別行程を経てからし粉にします。
実は、種子の状態では芳香も辛味も感じられません。
粉末にしてぬるま湯で練ることで、あの特有の香りとツーンと鼻にくる辛味を発するのです。
40度くらいの、ぬるま湯で練ると最も酵素が活性し、香味が強くなるとのことです。不思議ですね。

通常、和からしは粉を水またはぬるま湯で練っただけのものです。
それに比べて、洋からしは食酢やワイン、糖類などが加えられています。

和からしは、おでんや漬物などの和食はもちろん、その強い辛味は肉を使った洋食にも向いています。
羊肉や牛肉のステーキに和からしを効かせるとピッタリ合います。
また、洋からしは、辛味というより香味を楽しむ調味料といえます。
鶏肉のように淡泊な味わいの肉質には、マスタードのなめらかな味わいがよく合います。加熱すると辛味が逃げますので、たっぷりお使いください。

料理のジャンルではなく、味わいの強さで和と洋を使い分けるといいのかもしれませんね。