食の歳時記
秋<11月> 大根は名脇役

秋も深まり、暖かいものが恋しい季節になってきました。

おでんが食べたくなりますね。おでんといえば大根。
おでんのだしをたっぷりと吸い込み、かつ大根独自の風味をかもしだす、あのほくほく感が大好きという方も多いと思います。

おでんに限らず大根はいろいろな形で食卓に登場します。
鍋物、大根おろし、サラダ、ふろふき大根、ぶり大根のような煮付け、刺身のつま、味噌汁の具、たくわん、なます、切り干し大根、などなど。

なくてもいいけど、ないと困る・・・という主役を引き立てる名脇役です。

さて、大根は一年中出回っていますが、おいしくなるのは晩秋から冬。甘味が強くなり、水分もたっぷり含んでいます。おいしい大根をいただけるのはこの季節です。

大根の作付面積、生産量は、野菜の中のトップ
世界で一番大根を消費しているのは日本人です。

大根の歴史は古く、弥生時代に朝鮮半島をわたってきたと考えられています。古事記や日本書紀にも記述が登場しています。太古の昔から日本人に愛されてきた野菜です。

ビタミンCや食物繊維が豊富。更に、消化酵素ジアスターゼが含まれています。このため、お餅と大根おろしを一緒に食べると消化を助けて胃がもたれない効果や、青魚のにおい消しとして焼き魚に大根おろしを添えたりします。お刺身のつまに大根の細切りをそえるのも毒消しの作用があるからだそうです。

江戸時代には、練馬、三浦半島、亀戸などの関東近郊、桜島(鹿児島)、守口(岐阜)聖護院(京都)など各地で有名な地大根がうまれました。現在は、9割以上がおなじみの「青首大根」です。

大根は、葉っぱに近い部分(頭部)、真ん中(胴部)、先っぽ(尻尾部)で甘味や辛味に微妙な変化があり昔から使い分けていました。

頭部は辛味が弱く肉質がやや硬いので、おろしや酢の物、サラダなどの生食にむいています。もっとも甘味が強いのは真ん中の胴部分です。
太さも揃っているので煮物やおでん、ふろふき大根にむいています。
尻尾部分は辛味が強く繊維や水分も多いので、味噌汁の具や漬物、切り干し大根などにむいています。

また、大根の葉っぱには、本体以上にビタミン類やミネラルが豊富に含まれた貴重な緑黄色野菜です。

大根の葉は日持ちがしないので、スーパーなど店頭では切り落としていますが、産直市場などで葉付きを手に入れることができたら、細かく刻んで油揚げとさっと炒め、お醤油や鰹節をかるく混ぜると、ごはんのおかずとして栄養豊富な立派な一品になります。

さぁ、今夜は一本の大根をどんな脇役として食卓に登場させましょうか・・・?
(Vol.73)
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