食の歳時記
春<4月> 花見カレイ

カレイは、蝶(ちょう)のように平たく、海底をひらひらと泳ぐので、漢字で「鰈」と書きます。
英語ではFlatfish(扁平な魚)です。

刺身や煮付けなどで美味しいのはマコカレイ。
産卵を終えて浅瀬に戻ってくるのが桜の開花時期にあたるので「花見カレイ」と呼ばれています。初春から初夏が旬です。

よく「左ヒラメ右カレイ」と言われます。
お腹を下にして頭の部分が右にあるのがカレイです。
卵から孵化した稚魚は、アジなどの普通の魚のように両側に目があります。体長が4mmぐらいになると、なぜか左目が移動し始め、1cmの頃には頭のてっぺんに移動します。両目が横に並ぶ頃には、これまで垂直だった身体が左傾し、扁平型になって海底に着定するそうです。不思議な生態ですね。

さて、マコカレイで有名なのが「城下(しろした)カレイ」。
大分県別府湾の日出城下の海で魚獲されたカレイが、とてもおいしかったので、特別に「城下カレイ」と呼ばれて、貴重品として重宝されていました。
海底から真水がわき出ていて、ここで育つカレイは、肉厚で泥臭くなく味は淡白かつ上品。

江戸時代の参勤交代の折には、将軍に干し物を献上していました。
また、4年毎の閏年には「活魚」で献上し、その輸送費は200両(今の価格で約1000万円)はかかったと家老の日記に書かれています。

「マコカレイの旨さは煮付けにあり」と言われます。
旬の「花見カレイ」の煮付けに、菜の花のお浸しを添えて、今夜は春を味わってみませんか。
(Vol.66)
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