食の歳時記
秋<11月> 柿食えば〜

illust/yuzuさん

柿食えば 鐘がなるなり 法隆寺 / 正岡子規

わらぶきの農家の庭に赤い実をつけた一本の柿の木。
山々は紅葉し、ススキが風にさわぐ。
茜色の夕日が長い影をおとし、お寺の鐘がゴオォ〜ンと響く。

日本人が思い描く、晩秋の里の典型的なイメージかもしれません。
この風景になくてはならないのが柿の木ですね。

田舎ではどこの家にも柿の木が普通にありました。
北海道と沖縄以外では日本の風土に順応しているそうです。

柿は日本育ちの代表的な果物です。海外でも「kaki」と標記されています。旬は10〜12月。スーパーマーケットの店頭にだいだい色の柿がたくさん並びます。

柿はまだ熟さないうちはタンニンという渋み成分が溶け込んでいて、鳥たちに「まだ食べたらだめだよ」と知らせています。熟した種を鳥たちに遠くへ運んでもらうための作戦です。

熟しはじめると鳥にも目立つ赤い色に変わり、渋みもなくなります。
鳥の食べごろは、人間にも食べごろなのです。
「柿の実は全部とってしまわないで鳥のためにいくつかを残しておきなさい」と祖父が言っていた記憶があります。

柿の果肉に点在する黒い点点は、渋み成分タンニンが固まったものです。熟すと不溶性に変化して口の中で溶けないので渋さを感じないのです。

柿を切リ分けるとき、種もいっしょに切ってしまうことありませんか?柿を上から見ると、四つに分かれています。筋が入っているところに包丁をあてて切ると種が切れないそうです。お試しください。

柿は私たちが普段食べる果物の中で、ビタミンCの含有量がトップクラスです。冬の風予防や美肌に効果があるそうです。晩秋のふるさとに思いをはせながら、今夜のデザートは柿にしてみませんか?
(MCC通信 Vol.49)
illust/tamiさん
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