食の歳時記
秋<12月> ブリ(鰤)

illust/Tamiさん

いよいよ師走。なんとなく気ぜわしくなってきますね。

今月は、「出世魚・ブリ」のお話です。

ブリは、春の産卵に備え、北の海でたっぷり飽食して栄養を蓄え、ひきしまった身にたっぷりと脂をのせて、日本海に沿って南下してきます。

富山湾では、雷が鳴り響き、海が荒れるこのころを、「鰤起し」と呼び、漁のはじまりを告げる合図になります。

師走になると美味しくなるので魚編に師で「鰤」になったという説があります。また、「あぶり(脂)多き魚」から、「あ」が取れて「ブリ」と呼ばれるようになったとも言います。

お刺身の醤油もはじいてしまうほど、脂が乗ったこの時期が、「寒ブリ」と呼ばれて、最も美味しくなる季節です。

ブリは成長につれて呼び名が変わり、価値も上がる「出世魚」です。

関東では、
ワカシ(15cm)<イナダ(40cm)<ワラサ(60cm)<ブリ(80cm以上)

関西では、
ツバス<ハマチ<メジロ<ブリ 

と、大きさによって呼び名が変わります。日本各地に違う呼び名があって100以上になるそうです。

北陸では、お婿さんが出世して、娘が嫁ぎ先で苦労しないようにという親の願いをこめてブリを嫁ぎ先に贈る「嫁御鰤」という風習があるそうです。

ブリは、1970年代から盛んに養殖され、現在、養殖物が15万トン程出回り、これは天然物の3倍ほどになります。
養殖物は、5月に稚魚(モジャコ)を生簀に放ち、12月頃、1.5kg(40cm前後)ぐらいに成長したもの出荷します。
この大きさは、関西で言うハマチと同じなので、関東では一般的に養殖物をハマチと呼ぶようになったのだそうです。

お刺身、塩焼き、照り焼き、なども美味しいのですが、ブリのアラからでる脂が、みずみずしい大根にしみ込んだ「ブリ大根」は絶品です。アラの生臭さを丁寧に取り除く下ごしらえが、美味しくする秘訣だそうです。

寒い夜はブリ大根で、ご主人の熱燗におつきあいもいいかも・・・
(MCC通信 Vol.26)
illust/よっちゃんさん
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