食の歳時記
夏<9月> 幸水、豊水、20世紀

illust/Tamiさん

このタイトルは、日本を代表する梨の品種名です。

この3つの品種で全体の80%を占めています。
梨や柿や栗などは晩秋の食べ物と思いがちですが、梨は、8月下旬から9月にかけてが旬になります。
甘くみずみずしくしゃりっとした食感は、まだまだ暑さの残るこの時期にぴったりの果物です。
梨は大別すると幸水、豊水に代表される赤系と20世紀の青系に分けられます。

さて、この「20世紀」梨には誕生の秘密があります。
明治21年(1888年)、千葉県松戸市の13歳の少年、松戸覚之助が、親戚宅のゴミ捨て場に生えていた小さな木の苗を発見しました。少年は、お父さんが経営していた梨園(錦果園)に移し変えました。10年後の明治31年(1898年)、大きくてまんまるな実がなりました。

皮の色は薄緑色で美しく、放香が強く、今までにないほど甘い梨でした。
2年後に20世紀を迎えることからこの新種の梨に「20世紀」という名前が付けられました。

突然変異で生まれた一本の苗木がゴミ捨て場で偶然に発見されて、その名の通り20世紀を代表する銘柄になったのですね。なんだかシンデレラストーリーのようです。

梨はカリウムを多く含み、体内のナトリウムの排出を促進することから血圧を下げたり、利尿作用があることが知られています。また、あのしゃりしゃりとした食感は石細胞と呼ばれ、便秘の解消にいいようです。

昔から「梨は尻から柿は頭から」と言われ、お尻のほうが美味しいのだそうです。
暑い夏にバテ気味の今、冷たい梨をお尻からかぶりついてみませんか。
(MCC通信 Vol.11)
illust/ナルさん
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