雪印メグミルク
牛の味を教えるな。
日本人は古来より牛肉を食べる習慣がありませんでした。これは「神道」が不浄を嫌い「仏教」も動物の殺生を禁じていたことが影響しています。675年に天武天皇は、「牛・馬・猿・鶏の肉を食べてはならない」という詔勅(みことのり)を発しています。以来江戸時代まで、頻繁にこの禁令が出されています。これは単に宗教的なことだけではなく、農耕の大事な担い手である牛の肉の味を覚えられてしまうと、みんな食べられてしまって農業が成り立たなくなると危惧した一面もあるようです。
しかし、その一方で、近江牛で知られる近江の国から、薬用の名目で密かに将軍家に毎年牛肉の味噌漬けが献上されていたという話も。下々の者には禁じておきながら、支配階級ではこっそり食べてはスタミナをつけていたというわけです。いずれにせよ、牛肉は明治の文明開化を迎えるまで、一般庶民には遠い存在でした。
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