第二回 生産者と雪印社員の対話会(5月1・2日 北海道ニセコ町にて)


 去る5月1日、2日北海道ニセコ町にて、第二回目の生産者の方と雪印社員との対話会を行いました。今回は牧場を経営されている高橋ご夫妻、ニセコ町長、早来町の畜産農家内藤さんら6名と雪印社員7名の計13名で当社再生に向けて様々な意見交換を行ないました。

 今回の対話会実施にあたっては、雪印100株運動(※)に参加されている高橋真弓さんを中心に生産者側のメンバーの選定をしていただき実現しました。情報公開について先進的な取組みをされている逢坂ニセコ町長にもご参加いただき、多方面にわたるアドバイスを頂戴しました。

 当社参加者は今回は全員が本社の社員であり、ほとんど生産者の方とお話をする機会を 持ったことがなかったため、高橋夫妻や内藤さん等生産者の方の生の声に触れ多くの気づきを得ることができました。「雪印が潰れても困らないと言う生産者もいる」「かつては雪印が酪農家のミーティングの場だったがいつのまにか大企業になって遠い存在になった」など厳しい声もたくさん頂きましたが、酪農家が作った会社として良い物を提供するために生産者と共に考え、もう一度原点に戻って再生するべきとの力強いご助言をいただきました。

 対話会の翌朝は社員7名が高橋牧場で2時間にわたり酪農体験をさせていただきました。高橋ご夫妻や息子の泰之さん、牧場で働いている実習生の方にご指導いただきながら、搾乳や給餌、飼料の準備、子牛にミルクをあげたり敷料(麦ワラ)を交換したりの作業をさせていただき、短い時間ながらも非常に密度の濃い体験をさせていただきました。朝のお忙しい中、高橋牧場の皆様には大変お世話になりました。また、高橋ご夫妻、町長をはじめ遠方からお越しくださった内藤さん他ご参加いただきました皆様、本当に有難うございました。


※「雪印100株運動」
一昨年の雪印乳業食中毒事件後に、山崎洋子さんが中心となり展開している運動。食べ物の安全性に対して、自らの責任を果たしていく農業でありたいという願いを込め、株を購入することで合法的に雪印乳業を監視し、生産者として改めるべきところは改めるように提言していくというもの。購入の輪は消費者にも広がり、参加者は現在では180人を超え、5万8千株に達している。



 出席いただきました皆様からのご意見と、雪印社員が感じたことは以下のとおりです。

<雪印への意見・提言など>
今回の事件は日本の風土、社会システムに巣くっている問題の集約だったのではないかと思う。雪印が再生していくことが日本の、北海道の新たな発進になるのではないかと思っている。時間はかかるかもしれないが、方向を間違わなければ(会社だけの再生のためではなく日本の食生活を考えたり、自己保身ではない方向)再生できるのではないか。
生産者と生活者は相反するものではなく実は同じことを考えているお互い生活者であり、生活者同士をつないでいるパイプ(雪印)がブラックボックスになっているのではないか。それを透明なパイプにしてつなぐ役割を果してもらいたい。
かつての雪印の社員からは命の源になる食料、中でも子供を育てるのに欠かせないミルクを供給するんだと教えられ、心のある会社だと信頼して今までやってきた。だから酪農の仕事に非常に誇りを持てた。酪農家は雪印から技術指導を受け、ずっと酪農家のミーティングの場が雪印だった。それが大企業になって遠い存在になってしまった。今でも現場とは上手く付き合えているが、現場以外のところで何かがずれているのではないか。
創業の精神を今の社員がどれだけ知っているか、我々に話してくれたような話を社員にする人がいないのは問題。それを理解することが復活の糸口になると思う。自分たちも海外との競争で単にコストを下げることではなく、本当の食料を作ることが競争であることを若い人たちに伝えていきたい。
合理化が進み雪印が生産者から遠のいていくことで、生産者も雪印に対する責任がどんどん希薄になっていく。作られる牛乳がどことどこの酪農家の牛乳が入っているということがわかるようなものだったら、生産者はもっと努力する。工場と酪農家が顔の見える関係であり、さらにその先に顔の見える消費者がいるというのが理想。
食品が負うリスクを消費者にいかにわかりやすく情報開示できるか。供給者側の使命としては選択肢をできるだけ作って、消費者がリスクなどもわかった上で選択できることが今後必要である。ただ情報公開をしても消費者はわからない。どうしてこういうやり方なのかをわかるように説明して公開することが大事である。
企業活動においてもいかに情報をわかりやすく出すかが課題である。これからのキーワードは「シンプル」。小学生でも理解できるくらい簡単にして情報を出すこと。
牧場のミルク工房にもお客様が見に来るが、見られることで衛生面も非常に気を遣うようになった。お客様の目が自分達を活性化している。
消費者にもっと現場を知ってもらって牛乳の価値を知ってもらいたい。そうすることによって生産者もやる気になる。われわれ生産者もそのために情報を公開する努力をしなければいけない。
農家を単なる供給者として見るのではなく食を作る一環で農業全体を考え、その中で雪印ができることを考えて欲しい。雪印がそのモデルとなって欲しい。
 
<雪印社員の感想>
生産者とどう向き合っていくかということは今後の再生に向けては非常に大事なことである。これまでは酪農担当を除いては、生産者の方とお話する機会を設けてこなかった。部門を超えてこのような対話をさせてもらえれば、それぞれの部門で必ず気づきがあると感じた。
かつて雪印に教えられて酪農を始めた高橋さんが今は雪印に酪農のことを教える。我々にとっては情けないことだと思う。
雪印の先輩たちが熱い情熱を持っていたことを、雪印の社員である自分が社外の方の言葉の中で知り、感動していることの異常さに改めて気が付いた。社内に同じような話をしてくれる(話をできる)人がいないことの重大性と自分自身が雪印に無関心であったことを痛感した。
今回の対話集会では、情報開示に関する話題が多く出てたが、我々は「お客様が判断するための選択肢(情報)をより早くより多く提示すると同時に、それを取捨選択していただくための基準となる事典のような知識を常々開示・普及する」ことが必要なのではないかと思う。
もう一度「乳」だけではなく日本の「食」を考え、提案できる会社になりたいという気持ちを強くした。
対話集会は自分自身を反省し、原点に戻るきっかけとなった。これを契機に、どのようにアクションをとるのか自分自信で考え、今でも雪印を応援してくれる方々の声に耳を傾け、透明度アップを図ることから始めたい。
実際に牛に触れて、手で搾乳をさせてもらい、出てくるミルクが非常に尊いものに感じられた。「1Lパックの牛乳の1滴1滴が牛のお乳から搾られるもの」であることは誰でも知っているが、その有難さを心から感じた瞬間だった。わたしたち社員はもちろんのこと、むしろ消費者にもその尊さ・有難さをお伝えしたいと思った。それを感じながら飲む牛乳は格段に美味しく感じられるのではないか。そのために自分が出来ることを考えたいと思う。
 
(出席者)
<ニセコ町の方々>
 
高橋 守さん、真弓さんご夫婦(酪農家)
   高橋牧場ホームページ
    
内藤 圭子さん(畜産農家)
   内藤アンガス牧場ホームページ
    http://www.phoenix-c.or.jp/~angus/index.htm
逢坂 誠二さん(ニセコ町長)
   逢坂誠二ニセコ町長ホームページ
    http://www5a.biglobe.ne.jp/~niseko/
野村 俊一さん(ニセコ町助役)
原田 正さん(ニセコ町役場 農林課長)
 
<雪印社員>
 
土岡 英明(経営企画室)
川口 昇(広報室)
荻原 秀輝(乳食品事業部)
左柄 正典(市乳事業部)
稲井 正昭(酪農資材部)
菅谷 正行(CS推進室)
原 恭子(経営企画室)


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