第5回目 提言ポイント
1.環境

雪印は、北海道が拠点ですから、エコアイスの考え方で、自然の氷や雪の利用を考えてみたらどうかと思う。

スーパーとかCVSと家庭(個人)をつなぐところのリサイクルをどういう風に会社として行っていくかが問題である。

環境破壊に関しては、地球資源を使いすぎていることが問題であり、売れない商品を作りすぎている。そのためには、なるべく雪印の得意な商品に戦力を投入して雪印が、やらなくていい商品は作らない。

安易に自然とか本物という言葉をよい商品のクレジットとして使うと消費者は、自然のものなら何でもいいと短絡してしまう。結果として、一切添加物は使わない、一切化学肥料や農薬を使用しないものと解釈しがちであるが、LISA・低投入で持続性を考慮した農業を視座に入れる必要がある。
(注)LISA=Low Input Sustainable Agriculture

「本物」というコンセプトの中に、エコロジカルな意味合いの「本物」を入れることは重要かもしれない。環境問題というのは実はものすごく目に見えにくくて、いかに可視化するかという事が課題である。一番外部から実態の見える工場を、単なる「アセンブリ」の位置づけにせず、工場こそがPRセンターだという意識を持つことが重要である。

雪印の場合、「大地の香り・自然の中で生かされている、本物志向、命の輝き、自然素材そういうものを大切にする商品・サービス・ソウトウェアを徹底的にこだわっている。だから、商品を設計する際の開発コンセプトの中に自然様が既に入っていると言うことと、エコロジカルな事を配慮しているかということが、目に見えるような商品が続々と出てくるという事が消費者にとって大切な事であろうと思う。

社内チェックだけではなく、社外の専門家又は専門家組織によるチェックというような手法を導入できないものか、検討されたらどうかと考える。

2.社会貢献

雪印は食というドメインでの、本物・おいしさ・健康というテーマがあるが、どのような新しいコンセプトやイノベーションを通じて、ライフスタイルの質を変えていくかという事がキーだろうと思う。具体的に言えば、新しいライフスタイルの質を提案するために、例えば科学技術・商品サービス・ソフトェアー・ビジネスシステムさらには、人そのものが変わってこなければ、ならない。社会貢献の核となるのは、新しいライフスタイルの提案ということになってくると考える。

社会貢献は、トップだけが考えるのではなくて、今雪印はこのような社会貢献を行っている、その内容を全ての社員に伝えておいて、そして社員に「もっと新しいこと、やるべきことが他にないか」問いかけをやってほしいと思う。

社会貢献について整理したものを見ますと、「こんなこともやっているか」という感じである。これも外に対する働きかけというか、情報の開示が足りないという感じがする。せっかくいい事をやっているのですから、もっと外に対してPRしていくことが必要だと思う。

国際交流を通じた国際貢献、たとえば、乳業ビジネス部門の交流として「乳業のあり方や乳製品問題の討議の場」や「その進め方をめぐるディスカッションパネル」作り等が考えられる。

3.企業風土

雪印は、巨大になり過ぎて末端が見えないことが問題である。さらに、社員は内部志向が強過ぎてトップの方にばかり顔を向けて、消費者に向いていないことも問題である。

企業風土を変えていくには、「革命」しかない。革命の論理を徹底的に活用することが重要である。知の総動員を図り、その際、内部だけでなく外部の知も活用したらどうか。革命を起こすためには 1.雪印がもっている優秀な人材の知識、スキルを休眠させることなく、知の総動員を図る仕組みにする 2.組織は全部プロジェクト制にする位の進め方が必要 3.そこでは本質的な会話に徹する 4.プロジェクトに行動を直結する権限を与える。今回、雪印は、革命を起こすチャンスに直面しているが、様々な施策が新しいコンセプトや行動に直結しない限りは、革命はおこらない。

今求められていることは、更に質の高い知であり、「研究開発の神様」「商品企画の神様」「営業の神様」の知をどのようにスピーディにメンタリングするかである。

第三者によるチェックを明確にし、企業が開放系になったことによって、消費者は納得するわけである。

人事制度に関しては、「純血主義」でいくのか「中途採用」でいくかの選択がある。

現在30〜40才代の社員が将来駄目になるとすれば、純血主義を守った場合だと考える。「外部の知」を入れて切磋琢磨していかないと、30〜40才代の社員の能力は伸びないのではないか。

人事制度を見直す場合に、目標管理の考え方を取り入れることがあるが、それは良くない。従業員に「何をやりたいの」と聞いてはいけない。自分がやりたいかどうか判らないが、会社が意図的に仕事を作ってやらせた方が、一皮も二皮もむけるということが多い。極論すれば、問題意識を持ったリーダーに思い切って仕事をやらせるためには、組織は全部プロジェクト制にする位の進め方が必要である。

会社が志向している「自立型社員の育成」は重要なテーマだと思う。そのための研修のあり方も2通りあると考える。一つは、ビジネススキルを高める研修であり、もう一つは、基礎的なモラルの徹底を図るための研修である。後者は、「型」をたたき込みながら、責任感を植えつけることを目的としている。




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