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座長総括コメント


 第3回目の「組織」の議論では、そのコンセプト、例えば顧客、製造、商品開発の、どこに力点を置くか鮮明にする必要があるというご指摘、或いは、これからは「顧客を取り込む」「顧客と共に考える」「顧客に選択してもらえる」という、一歩前に踏み込んだ体質に転換していく必要があるというサゼッションがございました。また、当然のことではございますが、製造面では、ISOやHACCP、財務面では、時価会計制度・連結決算制度の導入など、組織のグローバル化等は、避けて通れない状況になっております。したがって、グローバル・スタンダードに適応できる組織ということもひとつ念頭においていただいてほしいと思っております。

 今回の組織改定は、事故の反省に立った「機能強化」、迅速な情報の流れと意思決定のための「機能の統合」・「フラット化」更に「事業責任の明確化」などが改定コンセプトであると伺っております。こうすることによって非常事態下の緊急的措置ということができるわけですが、いずれ経営状況が安定した際には、委員の諸先生方の提言を入れて、もう一段、抜本的組織改定にお取組みいただきたいと存じます。


 同じく3回目に「法令遵守と危機管理」および「企業倫理の再構築」について論じられたのですが、マニュアルとか行動憲章が準備、整備されれば良いというものではなく、言葉とか精神論から一歩踏み込み、一人一人納得し自然体で対処、実行できる水準までもっていかねばなりません。これは役員自ら実践することはもとより、社員に対する教育とその継続的な啓発が必須だと考えます。

 どうか役員が一枚岩になり具体的に行動されるよう念じております。なお「危機」に備えるという意味では、日ごろから危機を想定した情報管理と適応シミュレーションが行われていなければなりません。適宜「演習、トレーニング」も必要になってくるでしょう。そのような意味で是非専門チームの常設をお勧めするものであります。


 第4回目は「事業領域と新しいマーケティングの方向性」でした。創業の精神の今日的解釈を行うと共に、企業理念についての再確認を通じてこれからの「ビジョン」を打ち出し、さらにそのことを生活者に端的に理解してもらうためのメッセージが創られました。一貫性のある論理のもとに練り上げられた、「ビジョン」と「メッセージ」はわかりやすく説得力に富むと、私は評価させていただききました。しかも委員からの「本物」の解釈についての問題提起、およびサイエンス、イノベーションという切り口についての皆様の議論も踏まえ、全体の構成がより盤石なものになったと考えます。

 そこで、この後肝心なのは、具体的にどのような事業領域で、どのようなマーケティング手法をもって、このビジョンを達成するかでありましょう。商品開発の方向性、新しいチャネルの構築、ブランド管理の強化等々雪印のこれからの新しい成長、新しいコンピタンスの創造に向け、ぜひ数年でビジョンの実現の姿が見えるように社長以下全役職員の集中的なお取組みを願う次第でございます。高い選択能力を有する消費者に選ばれる高付加価値の商品を提供し得るようなビジネス・デザインを構築し、魅力ある企業価値を有する会社へと早期に変貌されることを切望します。

 また、今回の考え方の実践として初陣を飾る「MBP」についても委員から貴重な御指摘がありましたが、ぜひとも大成功されますよう心から念願致しております。



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