雪印乳業株式会社
雪印乳業株式会社
生産者の方々との対話会
第八回生産者の方々との対話会(7月9日 栃木県那須町にて)
写真2002年7月9日、栃木県那須町で生産者の方と対話会を実施しました。二宮町でいちご農家を経営されている猪野さんをはじめ、那須町で酪農を経営されている今さんなどを中心に生産者の方8名にご協力いただきました。雪印側は宇都宮支店のセールス、群馬工場など比較的近隣で働く社員や本社のお客様センターの者など8名が参加しました。

写真生産者の方々からは、雪印は生産者よりもさらに人の命に近いところにいるというお話や、生産したものは自分の子供のように思っていて、自分の手を離れた後も見届けたいという思いがある、そういう生産者の気持ちをわかって欲しいという話などをいただきました。また、現在生産者としても消費者に少しでも安心していただくために、積極的に組合や消費者の方々と交流する活動を行なっており、生産者と消費者の間にたつメーカーにはそのための支援をして欲しい、また消費者に理解してもらうためにも、生産者も工場でどのように製造されるのかも含めて理解する必要があり、わかりやすく情報を伝えて欲しいというご意見もいただきました。

写真最後に生産者の方からの「みなさん自身、事件以来生まれ変わったという気持ちでいるか」との問いに、社員全員が自らの仕事に対する思いや、個人的な感情も含めてお話をさせていただきました。生産者の方からは、途中厳しいご意見もいただきましたが、最後には雪印の社員がやる気のある人ばかりで安心した、今まで単に一メーカーとしか見ていなかったが、それぞれ個人の人間性やハートが見えて良かった、ますます誇りを持って頑張りたいとのお言葉をいただきました。


写真対話会終了後は、今さんの牧場で、ご主人のご指導のもと、3班に分かれて酪農体験をさせていただきました。


※休日にも関わらず対話会の場所を提供してくださった那須町高久甲のカフェ エ カーネ「チェント」さんに厚く感謝申し上げます。


生産者の方々からのご意見、参加した社員の感想は以下のとおりです。



【ご意見・ご提言】
酪農に非常に誇りを持っている。その誇りを傷つけるようなことをして欲しくない。酪農家は牛乳を生産して自分たちの手で即販売することはできず、メーカーを通して販売してもらうしかない。そういうところで、メーカーにはもっと生産者の気持ちをわかってもらわないと困る。
唯一の救いは、食中毒事件以降消費者に本物を求める姿勢が出てきたこと。本物の牛乳を求められるということは自分たちの仕事の誇りに繋がる。
自分で生産したものは自分で育てた子供のように、行った先をちゃんと見届けたいという気持ちでいる。雪印には生産者のそういう気持ちを大事にして欲しい。消費者も大事だが、消費者に生産物と一緒に生産者の気持ち、生産物に込めた気持ちも一緒に届けて欲しい。
雪印食品の場合のように、行くところまで行って内部告発というのは社員やその手前の生産者みんなが被害を受ける。そんなひどい段階になる前にどんどん言えるような環境を作って欲しい。会社に意見が言える社員になって欲しい。
生産者が消費者に安全性を理解してもらうために、消費者と生産者の間に立つメーカーが生産者の活動を支援したり、指導して欲しい。消費者が安心するためにはやはり現場を知らなくてはならないし、生産者の顔が見たいかもしれない。我々は日々生産しなければいけないから、そういう活動の支援や指導をもっとメーカーにして欲しい。
10年位前には親子で牧場見学に来て、子供が牛を触ろうとすると親が「触っちゃだめ」と子供の手をはたいていた。最近は親の方が「触ってごらん」と言っている。やはり動物見た目だけではなく、触ったり手を舐めさせたりして体感させるということの大切さに親が気づき初めている。汚いからさわっちゃだめという時代から、やっぱり触れてみないと生命の温かさはわからないという時代になった。お客様からのレポートで、子供が牛乳嫌いだが、牛を見せてどれだけ牛乳が大切なものかを分からせたいという意見もあった。
消費者に牧場に来てもらうだけでなく、自らも消費者の元へ行って交流する。相互に理解することが大切。
牛乳を他社より安くすれば売れるという考えて値下げしないで欲しい。自信をもってこの牛乳ならこの値段しか売れないというところを見せて欲しい。また、水より安くしないで欲しい。


― 対話会に参加した雪印社員の感想 ―
対話会では、乳資源の廃棄という問題が話題となった。生産者が、一生懸命作った、乳資源は、極力無駄にすることなく、使って欲しいというのが、生産者の方々のもっぱらの意見であった。工場で出荷されなかった製品や、製品サンプルがそれにあたるが、現在の企業活動(注:雪印乳業では食中毒事件以降、牛乳類の一旦容器詰した製品の再利用はしないことと決めています)を鑑みるとある程度は仕方がないが、当社としては極力食べ物を廃棄しないで、有効活用の努力をすべきだと思った。それが、食品というものに対する敬意ではないかと思った。その思いが謙虚で安全なもの作りにつながるのだと思う。
昨今の食にまつわるさまざまな社会的問題の影響などで、生産者の方々も、雪印と同じような厳しい立場に立たされていることは、酪農家さんのお話を聞いても感じたが、それでも仕事があるという喜びをお互いに確認できたと思う。私としては、その喜びを感じながら、あたりまえの仕事をあたりまえにするようにしたい。職場での掃除や整理整頓、経費の節減など身近なところから、努めていきたいと思った。
自分自身が作ったものに対しての自信と誇りはまさしくプロという意識をしっかりと持っていらっしゃるな。と感じた。私たちにはそのプロ意識が少し薄れていたという気がする。生産者の方々が自信を持って作った物を私たちも自信を持ってお客様に届ける。そのような商品を作っていかなければならない。と改めて痛感しました。
また、BSEや当社の食中毒事件で相当なダメージを受けた生産者の方々のお話を聞いて改めて厳しい現状が続いている事を痛感しました。そんな中で、様々な形でネットワークを作り、同じ酪農以外の人とも情報交換を行っている、皆さんの姿をみて、私たちの会社ももっと社内での他部門との繋がりを密にしてゆく必要があると感じた。
生産者・メーカー・消費者の中で、生産者が一番元気に感じた一日だった。参加生産者の方々はそれぞれ作っている物は違っていても、良いものを届けるという気持ちは、一緒であり真剣さが伝わってた。
食中毒事故以降、自分の中で「牛乳販売店様から再度信頼を得るにはどうしたらいいのか、今現在の経営の危機をどうやったら乗り切れるのか?」「量販店でお客様(消費者)に商品を購入してもらう為には何をするべきなのか?」ばかりを考え、酪農家の方々にどれだけの心労を与えてきたのかということを考える時間が全くと言っていい程なかった。しかし、今回いろんなお話をお伺いしたり、体験するなかで、「酪農家の方々が毎日汗水たらして働かれているからこそ、自分はこの仕事が続けられてるんだ」と改めて感じた。
また、自分は今まで「雪印の商品が好きだ。」と断言してきたが、”酪農家の方々の牛乳に対する愛情”から比べればまだまだだなということも痛く感じた。今後は、酪農家の方々の顔を思い浮かべながら、自分の娘を嫁にやるような気持ちで商品を扱っていきたい。営業の仕事をやっていると、どうしても「売らなければ、売るためには」ということばかりを考えてしまうが、こういった体験は本当に大事であり、なるべく多くの社員が体験できるようにして欲しいと思う。
今回の対話会は、生産者の方々の生の声(特に女性たちの)を聞く事が出来る良い機会であった。しかし時間が限られていたせいか、生産者の方々の意見・疑問に答えるといった流れだけに終わってしまった部分もあり、消費者の立場でもある生産者の方々が我々メーカーに対し、具体的に何を望んでおられるのか、もっと話を掘り下げて聞いてみたかった。
また、生産者の皆様が自分たちの牛乳がどう加工・流通されていくか疑問や不安を抱えるのは当然だが、その疑問や不安に対して答えることが出来る社員は、どれだけいるか。ここで思うのは、我々が自分の会社をどれだけ知っているのだろうかという事である。私たち製造の立場にある人間は、事務・営業がどのような仕事をしているか分からないし、同じ製造でも自分の知らない業種が多々あります。逆に、事務・営業の人間も、製造や研究部門に対し知らないことが多々あると思う。
今回は酪農実習までさせて頂き、酪農家の苦労が少しでも理解できた。今後ますます製造に対する思いも深いものになると思う。それと同時に、社内でもお互いに理解し合わなければいけないとも大いに感じた。雪印は大きくなりすぎて、各部署ごとに温度差が生じていると思う。今後は、アフターミーティングなどを通じて、この温度差を少しでも小さくしていけたらと思う。
これからも生産者の立場をより理解したいと思い、この夏妻の実家(幌延町の酪農家)に行って、手伝いながら実習しようと思う。
今回対話会に来られた生産者の方々は、自らの生産物に対して絶対の自身と誇りを持っておられることに感動を覚えた。
印象に残った言葉「生産者は一所懸命安全なものを生産している。消費者はもちろん安全な食品を求めている。中間にいる企業はどのくらい真剣に考えているのか?」
最近は生産者と消費者との間で、直接対話や交渉などが多くなり、次第に良い関係になりつつあるように思えた。これまでの「企業」の姿勢ではここに入れてもらうことは不可能であろう。利益優先ではなく、生産者と消費者の双方に対してパートナーという立場にならなければいけないのかもしれない。

【酪農体験をして】
ベッドメイクから始まり、ブラッシング、餌やり、哺乳、搾乳までやらせていただいた。搾乳時、最初お乳が出なく焦った。何気なく行っている作業の中でも牛に対する気持ち、お乳の状態等がとても勉強になった。この体験は、今後も多くの社員が参加すべきと思った。
対話会と酪農体験を通じて、生産者と乳業メーカーにまつわる現在の環境は厳しいものがあるということも感じずにはいられなかった。つまり、生産者のサイドとしては、厳しい酪農事情の中で生計維持のため、乳量の確保を最優先にかかげ、牛への負担を強いる。例えば、脂のつきすぎた牛には、乳の出るように体質を変えようと、飲み水の量を厳しく制限していた。牛は疲れているようだった。自然からは程遠かった。一方、雪印サイドとしては、量販店、コンビニエンスストア、お客様の強い要求に応じるため、生産者が作った乳を使って、商品の納品時間の制約が厳しい中で、見込み生産し、一日数回の納品をしている。時間的な余裕がないので、トラブルが生じ易い。安全最優先で作った、生産者の自負のある乳を、対話会では「大事に使ってください」と切望された当社としては、もう少し余裕が欲しい。これは食品流通にまつわる構造的な問題であるが、今回の生産者とメーカーの2者の対話から、量販店、コンビニエンスの売る側も交えた、3者の対話が次のステップだと思った。
国内の特に北海道外の牧場は、狭いところに沢山の乳牛が繋がれていて、お世辞にもきれいな所とは言えない、という固定観念がありました。ところが、今牧場は私の想像を超えてきれいなところでした。自分が持っている酪農に関する情報が、何十年も前のものだったり、間違いだったと気付かされたことが大きな収穫だった。
特に現代の酪農にとって大きな問題であろう糞尿処理に、多大な設備投資を行い、成功しているのを見て感心した。

出席者
生産者の方々
猪野 正子さん(いちご農家)
今 克枝さん(酪農家)
遠藤 啓子さん(酪農家)
岸 礼美さん(水稲、兼業農家)
中島 三咲子さん(酪農、畜産農家)
永山 優子さん(酪農家)
南条 豊子さん(酪農、畜産農家)
本多 幸子さん(畜産農家)

雪印社員
大西 功二(CS推進室 お客様センター)
川越 幸紀(群馬工場 製造課)
藤原 照久(宇都宮支店 販売課)
光永 博(関東市乳事業部)
山本 英史(宇都宮支店 牛乳販売店課)
若生 明徳(商品安全監査室 分析センター)
松本 幹治(経営企画室 信頼回復P)
原 恭子(経営企画室 信頼回復P)
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