雪印乳業株式会社
雪印乳業株式会社
生産者の方々との対話会
第七回生産者の方々との対話会(7月6日 兵庫県一宮町にて)
写真2002年7月6日、兵庫県淡路島の一宮町多賀集会所で生産者の方との対話会を実施しました。まとめ役を引き受けて下さった石上さんをはじめとする和牛繁殖農家の方々、酪農を経営されている方々、野菜栽培・花卉の経営をされている方々など生産者の皆さま10名にご協力いただきました。また、共済獣医の方や、行政の方々、JAの方など関係各位にもご参加いただき幅広い観点からのお話をさせていただきました。雪印側は神戸支店や関西統括支店の営業担当者、神戸工場酪農担当者、事務局の8名が参加しました。

集会所の和室に20名が一輪となり、3時間以上にわたって対話は行なわれました。はじめに一宮町産業振興課の江本課長から、農業をとりまく環境変化や、食と生活・環境・教育などの様々な関わり、今後の消費者に軸足を置いた行政のあり方などについてお話をいただき、対話に入りました。生産者の方々からは、下記の通り様々なモノ作りへのこだわりや、後継者問題、雪印への厳しいながらも温かい激励のことばなどを頂戴しました。

最後に行政の方から「今後は生産者、メーカー、消費者、行政など食に関する者がより距離を縮めていくことが重要」という言葉をいただき、会を終了しました。

ご出席いただきました皆さまに厚く御礼申し上げます。


生産者の方々からのご意見、参加した社員の感想は以下のとおりです。


【ご意見・ご提言】
「あそこの牛を買うてよかったな」と言うてもらえるように、とにかく相手さんに喜んでもらえるように、それだけが一生懸命、今のところ心がけている点です。それだけを願ってます。でも何とも自然相手というか、生き物相手の仕事は、そんなうまいこと、粘土でつくるような子たちになりませんねん。一生懸命しても太い腹になったり。
メロン栽培をしております。特に家の名前が前に出ることから、「味がよいのは当たり前」いうて家では考えています。メロンの場合、買いに来てくださるお客さんが大体リピーターで、その方たちとの交流も毎年楽しみにしております。お客さんが「名前がついている」いうことで、すごい安心して買ってくれるんですよね。文句が来るというのは当たり前。「味なかった」といったら、それはすぐにその日に来ます。だから、皆はそれを気に入って、いいもの、新しいもの、味のいいもの、それを当たり前のようにやっております。 信頼を失うことのないように毎日努力しないと。一度信用をなくすと、本当に農家などはすぐにつぶれてしまうんです。
私は、大体農産物って、農協さんところに出すときは自分で値はつけられないんですよ。買う人が値段をつけるんですよ。だけど、産直は違うんですよ。自分で値をつける、売れるから。高かったら「高い」と言うてくるし、言われれば安くしようか思うたり、「いいや」言うてそのまま突っ張ったり、やっぱり欲しい人は買ってくれる。
私とこなんかでも、メロン1個、大体1500円で売りたいんです。ずっと1月から毎日、メロンやっているんです。だからそういう手間賃とか、そのメロンの箱代とか、ものすごくいろいろ足したら、絶対メロンは1500円なんかでもうけはないんです。もっと上げたいんやけど、上げたらお客さんが離れていくから、今のところ、1500円でしか売られへんのやけど、でも自信はあるんです、味には。それでもお客さんはよく「高い」と言うんです。なら、特売所へ行って説明するんです、はじめから。「いついつ定植して。こないして、こないしたんだから、おしりがきれいでしょう」とか、いろいろ説明して。だから、お客さんと話し合いをする、説明がすごい大事なことになると思うんですよ。
雪印が再生をするならば、「こちらはこんなこだわりもってやっとるのに、会社はやってくれへんのや」ということは言いたい。あと、ここで言うていいか悪いかわかりませんが、いわゆる幹部職員、部長、課長クラスになりますと、悪い意味での官僚精神が何かあるような感じがすること、もっと再生を目指すならばそういう意識を捨てて、商売人という考えになってもらわなんだら必ず再生しませんよ、雪印は。だからそういう官僚精神を抜いていただいて、ほんまに消費者と接点を持ってもらいたいと思いますわな。


― 対話会に参加した雪印社員の感想 ―
対話会から帰ったら、課内外の人からも”どうだった??”と農家の方々がどんなことを話していたのかとても興味がある様子で、すぐ伺ったお話をしました。
今後の支店の取り組みとしては、酪農家さんからアイデアを頂いた、1.献血時のMBPサンプリング、2.子供をターゲットとした企画、を若手会で議題にあげてみようと思います。また、個人的には担当店舗で神戸工場見学・酪農現場の見学を実践し、牛乳の適正売価への変更をお願いしていこうと思います。
わくわくネットワークの皆さんのお考えを伺う機会を頂き、また、日頃は情報交換をする機会の少ない社内の企画・営業の方々とも話をすることができ、大変勉強になりました。私なりに気付いたこと・考えや思いを、稚拙な表現になるかと思いますが、ご報告申し上げます。私は工場の酪農係という職務上、工場に生乳を出荷されている酪農家やその組織の方々と日常的に会話をする立場にあります。また、勤務は北海道から九州まで、業務は診療・ET(受精卵移植)・酪農補導・乳質指導・酪青研推進・酪農販売・畜肉事業など酪農に関連した業務を通じて多岐に亘る経験をしてきました。
すなわち、酪農家の苦労や気持ちは社内のどの職場よりも理解していると自負しています。しかし、このたびの対話会に参加されたメンバーは、酪農家も居られましたが、様々な農産物の生産をされている方々であり、私にとっても日頃話す機会も無く、新鮮な気持ちでお話を伺い、考えるヒントを頂くことができました。
そして、皆さんがそれぞれに悩みを持ち、苦労され、時には失敗や試行錯誤を繰り返しながらも、元気で、農家としての自負と誇りを持ち、自分が生産した農産物に絶大なる自信を持って日々の生産活動を実践し、明るい将来展望を持っている、そんな大変気持ちのいい方々でした。
今の我々に欠けているのは、まさしくこの「元気」と「物作りに対する自信」なのではないでしょうか。
企業グループの一員として犯してしまった罪を、真摯に反省し対応しようとしている者ほど背中を丸めてしまっているのが現状かもしれません。が、対話会を振り返ってみると「みんなもっと胸を張って元気に頑張れ」と言っていただいたような気持ちが心に残っています。
酪農家の方の発言で印象深かったのは、「自分で搾った牛乳」として消費者の方に届けたいという気持ちが、自分からは表現こそされませんでしたが、心の内にはあるということ。真剣に牛飼いをされているからこその気持ちであり、実は多くの酪農家が多かれ少なかれこんな思いを胸に秘めておられるのかなあ、と思うに至りました。牛乳はその物理的特性と掛かるコスト面から、小分け管理や小ロット生産が難しいのが実態ではあります。この気持ちを、我々新生雪印がどのように一体となって具現化してゆけるのか・・・
今の私にできることは、「兵庫県産:酪農家からの牛乳」がより充実するように、周囲の理解と賛同を得ながら推進していくことですが、走りながらでも、これから更に何ができるのか、考えつづけていきたいと思います。この対話会に参加させていただき、今一度信念をもって業務を推進していく決意をしました。
わくわくネットワーク淡路地域メンバー対話会に参加した感想をご報告致します。
1.「メーカー」と言いながら「自社商品に直に触って商売していない」事を改めて実感。今回お話頂いたメンバーの方は「生産者」であり「販売者」であり「消費者」でした。メーカーと呼ばれる雪印社員の私は、毎日生の牛乳を見ておらず、お客様から直接お金を頂いてません。実際に行動するのは難しいですが、生産から販売まで1本筋の通った考えを持つ事は大事だと思います。
2.「こだわり」や「モノづくり」という言葉は自然についてくるもの。生活する為に、儲かる為に、夢を持つ為にされていることは、それだけで「こだわり」をもった「モノづくり」であり、当社はそれが欠けている。
3.個人的にちょっと厳しさを感じていた「酪農家からの牛乳」に対して「まだやれる」というヒント(気持ち)をもらった。花卉栽培の方が挨拶の際言われた「一度信用を失ったモノはあきらめたらそれまで」という言葉は心にズンと響きました。もっと商品に対して思い入れを持たないといけない。
4.夢 いま、夢をもたなかったら、未来の成功はあり得ない
生産者の方々の「こだわり」について、牛のエサや体調管理に非常に気を使われている事が分かった。私たちからは「こだわり」とみえても、生産者の方々はそれをあたりまえのこととして、自然に続けておられる事に感心させられた。
あたりまえ以上の事を、あたりまえに行える事がすばらしい。
酪農家が頑張って良い乳を生産しても販売価格が一定であれば、量をたくさん出荷するという方向にいってしまう。 (配合飼料等乳量を増やすエサを使用する)
エサからこだわって作られた乳はおいしく、安全で、高く売れるといった、酪農から生産、販売までの一貫した仕組みが必要なのではないか?
努力したことが報われる仕組みであれば若い人にも夢ができ後継者の問題も改善されると思う。もう少し厳しい指摘、意見がでるのかと思っていたがみなさん好意的でなごやかな雰囲気であり、大きな自信をいただいた。

出席者
生産者の方々
石上 敬子さん(和牛繁殖農家)
神野 秀子さん(和牛繁殖農家)
横山 良美さん(和牛繁殖農家)
高橋 小百合さん(和牛繁殖農家)
籾谷 香恵子さん(和牛繁殖農家)
南 和頼さん(酪農家)
大石 ゑみ子さん(酪農家)
太田原 かづみさん(酪農家)
大植 由美子さん(ふき・米農家)
阪口 羽津美さん(花卉・果実農家)

地域関係者の方々
江本 義弘さん(一宮町産業振興課)
藤井 亘さん(JA日の出)
住 伸栄さん(共済獣医)
亀喜 淳一さん(北淡路農業改良普及センター)

雪印社員
用田 高抱(神戸支店)
西川 直樹(関西業務製品販売部)
中村 匡享(関西市乳販売部)
竹谷 和章(関西市乳販売部)
三木 保志(神戸工場)
菅谷 正行(CS推進室)
松本 幹治(経営企画室)
金子 由香里(経営企画室)
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