雪印乳業株式会社
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生産者の方々との対話会
第五回生産者の方々との対話会(6月15日 宮城県大河原町にて)
写真去る2002年6月15日、宮城県の大河原町にて第5回目の生産者の方々との対話会を行ないました。
酪農や畜産を経営されている方5名の方にご協力いただき、当社社員9名が参加しました。酪農や畜産、人によっては野菜を栽培している方、ご自宅でこんにゃくを作って販売されている方などさまざまで、それぞれのお立場から生産者としてのこだわりや日々の努力、また日頃感じていらっしゃるジレンマなど本音のお話を伺うことができました。会の冒頭で「生産者が作ったものを加工・販売する立場としてメーカーの社員があまりに生産現場を知らなすぎる。自分達が作ったものではないからいい加減なことをするのではないか」というご指摘をいただきました。今回の対話会で生産者の方のご苦労、安心・安全な物を作ることがどれだけ大変なことであるかを生の言葉で聞くことができ、私たちはメーカーの社員としての役割を改めて考えさせられました。会のすぐあと、生産者の方に今後の計画について連絡を取っている社員もいます。現在参加した社員によって対話会を踏まえ、次の行動に向けた話し合いを行っております。

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生産者の方々からいただいたご意見と参加した社員の感想は以下の通りです。


【雪印への要望・提言】
生産現場を知らなすぎるのが問題である。メーカーだけで商品を作っているのではない。生産者の声を聞くだけではなくもっと生産現場を知るべき。現場を知らないと消費者に対しての製品の説明も薄っぺらいものになってしまうのではないか。
個々の生産者はいくら努力して乳質の良い牛乳を出しても、最終的には他の生産者の牛乳と混ざってしまう。中には組合の求める乳質をクリアできない生産者もいる。生産者も皆が皆努力をして基準をクリアするという意識に変わらないといけないと思う。
消費者が安いものを求めるのはわかるが、最近の酪農家の仕事は限度を越えた仕事をせざるを得なくなってきている。ひとりでできる仕事の量、1頭の牛から出るミルクの量には限度があるように、管理できる工数や規模がある。自然に素直な生活ができるのが理想だがどこかで無理をしている。生産者も頑張っているが消費者にも理解して欲しい。
結局安くなくてはいけないので量を作らなければいけないのと、売れる時期に売らなければならないのでみんな無理をしている。家庭菜園であれば無農薬も良いが現実的には無理。
後継者の問題は大きい。大変でもものを育てる充実感や愛情など毎日得ることがたくさんあるが、生活として成り立たなくなってきているために、自分の子供に継がせる自信がなくなってきているのが現状。「経済面で豊かでないと良い生活ができない」「お金が一番価値がある」というように日本そのものが人間の気持ちの大事なものよりお金を優先させるようになっているので、農家も後継者を育てることに熱心でなくなっている。
牛乳パックの回収を企業が積極的にやるべきではないか。コストがかかっても消費者も環境のためであればついてくるのではないか。
農家としてもものを作ってしまえば終わり、後は企業がどういう売り方をするかも知らず、どういう製品になって誰に売られるのかまで関知していなかったという反省はある。酪農家としてもっと自分達の仕事を消費者にアピールする努力が必要。そして消費者にも農業の現場を見てもらい更に農家もレベルアップしていくことが求められるのでは。
人は必要とされてこそやりがいも生まれる。農家だって国民や地域から必要とされなければならないし、雪印も酪農家から必要とされるメーカーでなければならないし、消費者からも必要とされる優良メーカーであって欲しい。そのために力になりたいと思うが、どこまで農家の思いが伝わるかということだと思う。今日我々が話した農家の思いを消費者に橋渡しできる企業であって欲しい。
日本は食べることに何も困っていない。美味しいものが安く手に入る。これから食糧が不足していくのは目に見えているのに危機感がない。自分達は、日本はそんなことにはならないという意識がどこかにある。日本の政治もそうだが、雪印も危機意識が足りない。もっと先のことを考えてほしい。
いもこんにゃくを作って販売しているが、栽培したいもが違えばどのくらい水分を吸ってこんにゃくになるかが違うから水の量も違えば、ミキサーを回す時間も違う。だからマニュアル、レシピは通じない。常に買う人の顔を思い浮かべて作っている。「美味しかったよ」「今度いつできるの」と言ってもらえるのが何より嬉しいし、納得のいかない物は絶対に売れない。作っても納得いかないものは捨てている。
乳業メーカーの広告は、広々とした牧場で牛が草をはんでいるイメージのものが多いが 現実の酪農現場はそうでないことが多い。あのイメージが牛にとって最適というわけではない。土地がなければその環境の中で一番理想的な方法で牛を飼っているので、牧草地で牛が放し飼いになっているイメージだけを作られてしまうと困る。


【雪印社員の感想】
「安い物を求める消費者の気持ちもわかるが、100%お客様では酪農家は皆潰れてしまう」という言葉が印象に残った。我々食品メーカーも少しでも安く良い物をという使命を追いがちであるが、一方で無駄が出ていることも事実であり、「良いものをより安く」を追求しながらも、限られた資源である食の大切さをお客様にお伝えしていくことも私たち食品メーカーの使命だと思う。
生産者の方の溜め込んでいた熱い思いに圧倒された。入社して6年市乳に携わってきて、わかったようなふりをして働いていた自分を恥ずかしく思い、生産者の思いを消費者に伝えることが雪印としての使命であり原点であるはずだったのにと反省させられた。
後継者問題は社会的に問題になっているが、改めて日本の酪農を不安に思った。
今回生産者の方の「生の声」を聞き、お叱りも激励も強く身に染み込み、今度こそ生産者、消費者の方を裏切らないように、本当に安心していただける商品を作りたい。
当社製品の基本的原形産業である酪農業だが、資料や本で読む程度の知識で、実際に現地で体験していないことに乳業メーカーの社員として、基本的なものがすっかり抜けているようで、仕事自体メーカーでありメーカーでないような、商社や商店で働いているような気がしてならなかった。今回実際に酪農家や生産者の方々と対話をすることによって、メーカーを取り巻く関係を体系化することができた。平成入社で敷かれたレールの上に乗り、当社原点からの歴史の流れを分断してしまっていた責任も感じた。小時間の対話会の中でこれだけの有意義で実りのある会を持てたことに感謝し、今回できた小さな輪をお互いの発展のために広げていきたいと思う。
今回の対話会で生産者として苦労や努力されている様子がわかり、メーカーとしての責任を改めて感じた。一番強く感じたのは、生産者と消費者の橋渡しが我々メーカーにできないものかということである。消費者が生産者の努力や苦労を身近に感じるようになれば、「安ければ」という考え方も薄くなると思う。生産者として、メーカーとして食品を作っている以上は安全・安心なものを提供するのは当然のことだが、「安心・安全」を買うにはそれなりの代償が必要なこともお伝えしていきたいと思う。

出席者
生産者の方々
小林郁恵さん(酪農家)
高橋敦子さん(酪農、畜産農家)
佐藤みち子さん(酪農家)
佐藤ゆう子さん(酪農家)
若生圭子さん(畜産、野菜農家)

雪印社員
大泉ひろ子(東北・お客様センター)
出納真澄(東北・市乳事業部)
東海林金雄(東北・業務製品課)
野中昌明(東北・品質保証センター)
畠山篤士(東北・育児品課)
増田圭司(東北・乳食品課)
松本幹治(経営企画室)
原恭子(経営企画室)
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