ムッシュ ムーのチーズコラム 【チーズプラトー】:チーズクラブ

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ムッシュ ムーのチーズコラム チーズをもっと楽しもう ムッシュ ムー:村山 重信

村山重信

村山重信 プロフィール
チーズプロフェッショナル協会 名誉会長
フランスチーズ鑑評騎士の会 日本支部 専務理事
チーズオフィスムー代表
1999年 フランス農事功労省「シュヴァリエ」勲章を授与
2010年 コンパニョン・ドノール・サントュギュゾン騎士号 叙勲

夏が旬のチーズ

チーズにも「旬」がある

「チーズに『旬』なんてあるの?」と思っている方は多いのでないでしょうか?特に原産地呼称を名乗るチーズは、気候やその土地の風土が味を醸し出すもの。その季節のなかで味わえばいっそう格別なものになります。
今ではほとんどのチーズが“時知らず”と言っても過言ではありません。製造技術の進歩と搾乳時期のコントロールの開発により、一年を通してそれぞれの美味しさを作り上げているのです。その代表が、食べる時が旬のプロセスチーズ。スライスチーズの野菜ロール巻き、ハラペーニョのスライスを巻き込めば、食欲がイマイチの時にあの辛さが、身体をシャキッとさせてくれます。

唇が感電するような“しびれる味”のチーズ

辛さと言えば、海外には本当に“しびれる味”のチーズがあるのです。それはフランス・リヨン市内唯一のチーズ工場での体験です。
その名前は、「フロマージュ フォー(強い味チーズの意)」。試食の直前に工場のオーナーに、「このチーズは名前の通り強い。しかも商品にする前の素だからかなり強いから注意してください!」と警告されました。さて、トロリとしたペースト状のチーズをスプーンですくい取り、こわごわ唇にスプーンを滑りこませた途端、臭いの強さはもとより、ガツン!と。いや唇が感電したような感触です!ビリビリ感は数時間取れません。これが本当のしびれる味なのかも知れません。青空マーケットでは、これをフロマージュブランで薄め、小さなプラスチック容器で販売されています。表示は名前だけ、店主に賞味期間を聞いたところ、「大丈夫!」。「なにが?」。店主いわく、このチーズの別名は「フォロマージュ フー(狂ったチーズ)」。だからバイ菌も怖くて入らないんだって! 夏でも怖くないのかもしれませんね。

やっぱりチーズも冷たくて美味しい食べ方を考えましょう。冷たいモッツァレラと冷やしたトマトのカプレーゼ。アンドルーエの“レモン添えのカナッペ”(カナッペに有塩バターをぬり、すりおろしグリュイエールをたっぷりかけ、その上にレモンのごく薄スライスの1/4を飾り、その中央にパセリのみじん切りひとつまみをのせる)。盛夏はスイカ!スイカに塩は日本の定番!そこで塩の代わりにフェタチーズ。イスラエルではフェタの消費量はけた違い!しょっぱいフェタはサラダにもたくさん使われています。他のチーズでも食欲を増す、自分だけのメニューを作ってみませんか!

(2015年8月17日)

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