スペイン - チーズで世界旅行【チーズの産地】:チーズクラブ

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スペイン

現在、チーズは世界の各地で作られていますが、その種類や食べ方は各国さまざま。そこで、各国それぞれでよく食べられているチーズや有名なチーズのエピソードなどのチーズ事情を国別にまとめてみました。
あなたがお好きなチーズはどの国のチーズ?

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世界地図 国旗

スペイン チーズ事情

今回訪れるのは、情熱の国スペイン。
先史時代の壁画で有名な「アルタミラ洞窟」の壁画に野牛が描かれていたことから、古くから牛や羊といった動物との関わりが深いことがわかります。しかし、スペインで今でも盛んな酪農は、他のヨーロッパ諸国とは異なり、牛ではなく羊や山羊が中心です。山岳地帯が多く、雨の少ないこともあり、古くから羊や山羊が飼われていたのが現在も続いているようです。
闘牛にフラメンコ、そして太陽に恵まれた情熱の国。
羊や山羊が中心の酪農は、どんなチーズをもたらしたのでしょうか?

スペイン人はお喋り好き!

食べること、楽しむことにかけては人後に落ちないというのがスペイン人気質。レストランに入っても話に夢中になってしまい、メニューの注文はずっと後…、なんていうことも。そんなとき、気の利いたウエイターが出すのが、ハモン・セラーノ(燻製ハム)とケソ(チーズ)です。バーなどでお酒と一緒に楽しまれたりもします。そのほか、揚げた魚、焼いた海老、丸焼きの豚など、スペインでは簡単な調理方法の料理が好まれているようです。

チーズの知名度が低いのはなぜ?

スペインでは、牛は約500万頭飼われていますが、そのうち乳牛は130万頭で、約590万トンの乳が生産されています。闘牛用の牛も多く飼われているようです。
それに比べて、羊は約900万頭、山羊は約250万頭と多く、古くから飼育が盛んだったようです。これは、先に述べたように農作物には適さない雨の少ない山岳地帯が多いことが理由で、家畜は主に肉や皮が目的だったようです。
チーズの生産量をみると、やはり羊乳チーズが全体の60%近くを占めています。また、山羊乳と羊乳、牛乳との混合乳での製品も出回っています。さらに、国内で生産したほとんどのチーズが国内で消費されているため、スペインのチーズの知名度が低いんですね!

チーズにまつわる民話!

首都マドリッドの北西、バリャドリードには古くからチーズにまつわるこんな民話が伝えられています。
(エスピノーサ著 スペイン民話集から)

オオカミがとてもおなかをすかせて歩いていました。
餌になる動物をどうすればつかまえられるのか思いつきません。
そんなときにキツネに出会い、オオカミはこう言いました。

オオカミ:「おいキツネ、お前を食ってやる。もう腹がへって死にそうなんだ。」
キツネ:「でもオオカミさん、私はこんなに痩せているのですよ。骨と皮だけですよ。」
オオカミ:「いや、お前さんは去年は肥えていたはずだ。」
キツネ:「ええ、去年は確かに肥えていましたよ。でも、私は今、4匹の子供に乳をやらなければならないの。今は、やっとのことで4匹に乳をやれるくらいなんですよ。」
オオカミ:「そんなこと俺の知ったことか。」
そしてオオカミが食いつこうとしたとき、キツネは言いました。
キツネ:「ちょっと待ってください、オオカミさん。お願いです。実は、私はチーズでいっぱいの井戸を持っている人が住んでいるところを知っているのですよ。いっしょにその井戸へ行ってみませんか。そうすれば、私の言ったことが本当だとわかってもらえます。」

キツネとオオカミはチーズを探しに行きました。
一軒の家に着くと、堀を乗り越え、井戸へ行きました。
井戸の中を覗くと、水面にはまあるい月が映っていて、チーズのように見えました。
キツネは中を覗き込んで、顔をあげオオカミに言いました。

キツネ:「ねえ、オオカミさん。チーズはとっても大きいわよ。見てごらんなさい。」
キツネはつるべの片方の桶に入って、チーズを取りに井戸の中へと行きました。
そして下からオオカミに向って叫びました。

キツネ:「オオカミさん、チーズはとっても大きいわ。持って上がれないくらい。あなたが入ってきて、いっしょに持ち上げるのを手伝ってちょうだい。」
オオカミ:「でも、わしはどうやって中に入れはいいんだ。まず、お前がかけらのチーズを一つ持って上がってこいよ。」
キツネ:「あなたはそんなにお馬鹿さんなの。もう一つの桶に入りなさいよ。そうすれば簡単に降りてこられるわよ。」

キツネは自分が乗って降りてきた桶に、急いで飛び乗りました。
オオカミは上のもう一つの桶に入ります。
すると、オオカミはキツネよりも重かったので、井戸の中へと下りてきて、反対にキツネはゆるゆると上がっていきました。
そして、オオカミが井戸の中でチーズを探している間に、キツネは大喜びで自分の子供たちが待っている家に逃げて行きましたとさ。

スペイン編 〜チーズあれこれ〜

ドン・キホーテも絶賛!?

マンチェゴ

ドン・キホーテが称賛したチーズとして有名なのが“マンチェゴ”です。スペイン中部のラ・マンチャ地方で数百年前から作られている、羊乳を使った硬質チーズです。直径25cm、高さ10cm、重さ3kgの円盤型で、表面には紐を巻きつけたようなジグザグの模様があり、独特の姿をしています。この模様は「エスパルトがや」を編んで作った「プレタ」と呼ばれる型によるもの。さらに、表面をオリーブ油でコーティングして半年以上熟成させますので、組織が引き締まり、大変にコクがあるチーズです。スペインを代表するチーズと言われています。

食前にはこのチーズ!

ベレー帽発祥の地、バスク地方はフランスとの国境に接しています。そこで作られる羊乳チーズ“イディアサバル”は、直径20cm、高さ10cmの円筒形で、約3kgの大きさのものです。表面は透明感がある茶褐色をしていて、スモークしたような香りと羊乳のほどよい酸味がひろがります。もっぱら、食前に食べられています。
アララー、ウルピア、ウルバサという呼び名のチーズは、このチーズの兄弟にあたります。

牛乳で作られた青かびチーズ

羊や山羊の乳で作られるチーズが多いスペインで、牛乳から作られている青かびチーズがあります。スペイン北部、大西洋に接しているアストリアス地方で古くから作られていた“カブラレス”というチーズです。季節によっては、山羊や羊の乳を混ぜて作られていたようです。このチーズの表面は、食塩水に漬けたかえでの葉で覆われています。大きさはイディアサバルと同じくらいですが、内部には細かい青かびが広がっていて、若干の甘味とコクのある味わいの後から、塩分がしっかりと感じられます。現在では、このチーズを模したバルデオンという名前のチーズが作られているそうです。

おっぱいに似た形!

形の変わったチーズの一つに、“テティージャ”というチーズがあります。ガリシア地方のフレッシュタイプのチーズで、梨やおっぱいに似た形が特徴です。弾力があり、しなやかで、やや酸味を感じさせる味わいがあります。
別名で「尼さんのおっぱい(ペリリャ)」と言われているそうです。