ヴァランセ - チーズコラム【チーズ辞典】:チーズクラブ

ヴァランセ

ヴァランセ

ピラミッドなんて見たくない

チーズの楽しみは味や香りだけでなく、その容姿にもあると思う。太鼓のような大物から、大福みたいにこじんまりしたもの。ヒョロッとしたういろう型やひょうたんスタイルなど興味は尽きない。このヴァランセ豆辞典で調べるはご覧の通りちょっと半端な四角すい。山羊乳チーズ特有の酸味を和らげるために木灰がまぶしてあるが、中は輝くように白く、ややねっとりとした柔らかな口あたりだ。このチーズはフランスのほぼ真ん中、ベリー地方のヴァランセ村で作られる。この村のヴァランセ城の主はナポレオン皇帝の腹心タレーラン公。エジプト遠征に敗れ憤懣(ふんまん)やるかたない皇帝との会食時に、もともとピラミッド型だったこのチーズがだされ、皇帝の怒りは頂点に。それ以来ヴァランセの頭は切られ、今のような寸詰まりになったという。こんな逸話も肴に、キリッと冷やした白ワインと味わうのがまたいいのである。

Photo:K.Nakazato Text:S.Ishi

ヴァランセ - チーズコラム【チーズ辞典】