日本のチーズの歴史

⾶⿃時代 古代⽇本にもあった!まぼろしの東洋型チーズ?!

日本に乳製品が伝わってきたのは今から1400年ほど昔といわれています。仏教とほぼ同時期に乳牛を飼うことが伝えられました。この頃のチーズと思われる乳製品は〝蘇〟と呼ばれ、栄養食品として用いられていました。今の作り方とは違い、牛乳を煮詰めて固めていたようです。その後、蘇を天皇に献上する制度ができ、盛んにつくられるようになりますが、高貴な人のための食べ物で、庶民の口には入りませんでした。その後、権力が武家に移るにつれ、この制度もだんだんとなくなり、蘇もつくられなくなっていったようです。

江戸時代 乳製品ふたたび!

日本酪農発祥の地 記念碑(千葉県酪農のさと隣り、嶺岡牛乳研究所入り口)

ふたたび、日本に乳製品が登場したのは江戸時代。八代将軍徳川吉宗が白牛を輸入し、安房あわの嶺岡(現在の千葉県南房総市大井)に牧場をつくり、その牛のお乳から、やはり煮詰めてつくる「白牛酪はくぎゅうらく」を作りはじめました。疲労、衰弱、栄養不足からの回復のために、削って食べたり、湯に溶かして飲んだといわれています。

明治時代 ⻄洋型チーズの製造が北海道で始まる!

エドウィン・ダン

現在、私たちが⾷べているような⻄洋型のナチュラルチーズは、1875年(明治8年)に、北海道の開拓使七重開墾場で、アメリカのエドウィン・ダンが、チェダーの製法を指導したことに始まります。
その当時はチーズを製造する⼈も⾷べる⼈も、ほとんどいませんでしたが、時代が進み1928年(昭和3年)に北海道製酪販売組合連合会(現在の雪印メグミルク株式会社)が試験的にブリックチーズを製造し、1933年(昭和8年)には北海道の遠浅地区でゴーダの⽣産を本格的に開始しています。そして、1934年(昭和9年)に「雪印北海道チーズ」(プロセスチーズ)が発売されました。

遠浅工場でのプロセスチーズ包装の様子

昭和時代(戦後) チーズの本格的な普及が始まる!

雪印カマンベールチーズ(缶入り)
1962年(昭和37年)

チーズの生産は第2次世界大戦により一時中止されましたが、戦後、プロセスチーズの生産が再開され、食の洋風化の中で、徐々に広がり、1964年(昭和39年)の東京オリンピック以降には、海外旅行者が増えて本格的なナチュラルチーズの普及も始まっています。その後に、ピザやチーズケーキが広まるなど、私たちの食生活にチーズが定着しました。そしてワインブームによりカマンベールなどを楽しむようになり、最近ではチーズの健康機能が注目されてチーズを食べる人が増えています。